2001年の末にWTO加盟後、知的所有権に関する中国の対応が内外の注目を集めてきました。19日と20日の二日間にわたって開かれた全国裁判所知的所有権の裁判活動会議で、中国の裁判所の関係責任者は、知的所有権裁判における取り組みについて紹介しました。
2001年から、中国の裁判所で審理された知的所有権に関する事件は、年平均20%の割合で増え続け、2007年末までに、全国の裁判所で審理された知的所有権に関する民事事件は7万件を超えています。その内容は、特許や商標、著作権、技術契約、不正競争に関するものです。中国の最高裁判所である最高人民法院の曹建明副院長は、「最高人民法院は、裁判の必要性によって、知的所有権に関する法律解釈を20件あまり出した。これは、特許や商標、著作権など各分野にかかわり、知的所有権の裁判基準を統一する意味合いがある」と述べています。
また、中国の各地方裁判所も、各地の実際の情況に従って、知的所有権に関わる紛争を適切に処理し、当事者の合法的な権益を守っています。
中国南部にある広東省の珠江デルタ地帯は、経済成長が最も速い地域の一つです。地域経済の急速な発展に伴って、この地域では、近年、知的所有権に関する案件が急速に増えています。これに対して、広東省高級裁判所は、知的所有権事件を全て地方レベルの裁判所のみで審理するというやり方を改め、最高裁判所の許可を得て、一部の基幹裁判所に任せています。広東省高級裁判所知的所有権法廷の林広海判事の話です。
「我々は、珠江デルタ地帯で、15の基幹裁判所を指定し、特許事件を除く他の知的所有権事件を処理させている。これによって、海賊版や、商標権の侵害など商標や著作権、不正競争などに関する事件は、現地で処理することができ、現地の行政部門は裁判所との協力も速やかとなり、効果が上がっている」と語りました。
中国の対外開放と対外経済貿易関係の発展に伴って、現在、外国と関わる知的所有権の争いも増え続けています。中国の最高人民法院の曹建明副院長は、「外国と関係する知的所有権事件については、中国の裁判所はこれまで、法によって公正に裁判し、平等に保護すると言う原則に従って、適切に事件を処理し、対外関係の発展を積極的に促してきた」としています。
曹建明副院長は、「外国に関係する一般の事件でも、国際社会が注目する敏感な事件でも、法に依って裁判されなければならない。一方的な世論に合わせるために公正な司法を犠牲にしてはならない。外国人も国民と同等に見なし、国際条約を遵守し、当事者の権利を厳格に守らなければならない」と述べました。
現在、中国政府の『国家知的所有権戦略要綱』の制定は、まもなく終わり、年内に実施される見込みです。知的所有権の司法システムの整備とその役割の強化が、今後の戦略の主な内容となっています。 (翻訳:周莉)
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