最近になって、国際貿易分野に現れた新しい現象が注目されています。つまり、先進諸国が発展途上国に対して、知的所有権保護について度々疑問を提出していることです。知的所有権はすでに新しい技術障壁となっています。発展途上国がこれにいかに対応し、先進諸国と知的所有権保護でいかに協力と共栄を実現させるかについて、発展途上国の政府組織であるサウスセンターは9日、ジュネーブでシンポジウムを開きました。
今回のシンポジウムは、WTO・世界貿易機関と世界知的所有権機関が知的所有権の実施をめぐって新たな交渉をスタートした際に開かれたものです。会議では、専門家が現在の世界における知的所有権実施の枠組や現状について例を上げて分析し、経験や教訓を総括しました。今回シンポジウムの目的について、サウスセンターの首席経済学者の李軒氏は「今回のシンポジウムは発展途上国が知的所有権の実施について開いた初の戦略的なシンポジウムだ。そして、初めて、発展の概念を知的所有権の実施に取り入れたものだ。サウスセンターは発展途上国の政府間組織であり、シンクタンクである。今回のシンポジウムを組織した目的は、発展途上国が日増しに厳しくなってきた知的所有権の保護、及びその実施による圧力に対応し、発展途上国の革新や経済発展に有利な道を探ることにある」と述べました。
出席者は発言の中で、「現在、世界はすでに知識経済の時代に入った。この25年近く、世界は新たな技術革新の時代を迎えてきた。コンピューターやインターネット、携帯電話を代表とする新しい技術は世界経済を根本的に変化させた。革新能力は国家発展の重要な原動力と競争力だ。こうした情勢の下で、発展途上国は自らの能力を高めなければならない」と述べました。世界貿易機関に駐在する中国の孫振宇大使は発言で、「発展途上国は革新や知的所有権保護を国家の発展戦略に組み入れるべきだ」として、「我々は知的所有権の創造、利用、管理、保護を必要としている。自らの技術革新能力を発展させ、革新や発明の成果を実験室や研究室から取り出し、市場に進出させ、国家の経済を資源依存型から知識創造型に転換させるべきだ」 と述べています。
出席者はまた、発展途上国は自らの革新能力を絶えず強化して行くべきだとしました。しかし、現在は南北間の格差が広がり続けていることも事実です。発展の差を縮めるため、現在の知的所有権保護体系はバランスを保つことや公平であることの原則を守り、「TRIPS・貿易関連知的所有権協定」を守るべきであり、知的所有権保護が発展途上国の発展を妨げる要因になってはなりません。この協定は、発展途上国が基本的に必要とする知的所有権使用に関する条例を明確に保障しています。しかし、ここ数年、発展途上国に対する先進諸国の要求はこの協定の標準を超えています。この点は注目すべきです。これについて、WTO・世界貿易機関駐在のウイビソノインドネシア大使は「知的所有権の問題については、全面的で、バランスのとれた考えが必要だ。知的所有権を保護する一方、教育や保健、経済基盤など多方面の要素を考慮すべきだ。民生の問題は政府にとって、優先的に解決すべき問題だ」と述べました。(翻訳:董燕華)
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