中国の温家宝首相は、20日、シンガポールで、第11回中国とASEAN（東南アジア諸国連合）首脳会議に出席しました。席上、温家宝首相は、ASEANとの協力強化について一連の案を提出し、「ASEANの一体化を支持する」との中国側の立場を明らかにしました。

　20日に行われた中国とASEAN首脳会議で、温首相は、「協力を拡大し、互いに利益をもたらすよう」をテーマにした談話を発表しました。その中で、温首相は、双方の協力強化について、五つの提案を出しました。それは、政治面では相互信頼を深めること；経済面では協力レベルを向上させること；安全保障分野では実務的な協力を行うこと；ASEANの一体化を積極的に支持すること；社会や文化交流、人的な往来を拡大していくことです。会議に出席した中国外務省の秦剛報道官は、「中国とASEANは、それぞれ、新しい発展段階に入った。双方が平和と繁栄に向けた戦略的なパートナーシップを強化していくのは、中国政府が堅持してきた外交政策である」と述べました。

　さて、中国側の提案には、具体的な計画も含まれています。中国は、来年、中国・ASEAN重大災害の対応能力強化フォーラムや第2回「中国・ASEAN電信ウィーク」などを主催する予定です。また、汎北部湾経済協力にかかわる専門家チームの設立や中国・ASEAN環境相会議メカニズムの確立、中国・ASEANインターネットと情報安全応急協力枠組みの確立などを提案しました。ASEANの首脳らは、これらの提案に歓迎の意を表した上で、自らの考えをも示しました。これについて、秦剛報道官は、「ASEANの各加盟国は、政治や安全保障の面で、中国とさらに対話を行い、経済や情報、インフラ建設などの分野での協力を拡大し、共に挑戦し、発展していくことを望んでいる」と語りました。

　ところで、今年は、ASEANにとって、特別な意義を持つ一年です。40年前、ASEANが発足しました。また、20日、加盟国は、法的な拘束力を持つ「ASEAN憲章」に調印しました。温首相は、中国政府を代表して、祝賀の意を表し、「この憲章の元で、ASEANは、この地域の平和や発展、繁栄に、さらに寄与していくことを信じている」と述べました。温首相は、また、ASEANの一体化を支持するという中国の立場を改めて表明しました。秦剛報道官は、「ASEANは、中国を信頼できる友人と親しいパートナーと見ている。ASEANの首脳らは、『中国の発展は、ASEANにとって大きなチャンスであり、双方の協力に美しい将来をもたらしてくるだろう』と述べた」と中国に対するASEANの首脳らの評価を紹介しました。