就任して僅か7日間の日本の遠藤武彦農相は3日午前、安倍首相に辞表を提出しました。安倍政権で、スキャンダルによって離任した5人目の閣僚であり、3人目の農相となります。

　遠藤農相の辞任は金銭スキャンダルによるものです。報道によりますと、遠藤氏は1982年から山形県米沢市の「置賜（おきたま）農業共済組合」の組合長を務めていました。そして、このほど、その組合が国の補助金約115万円を不正受給しました。日本の審査部門は調査を通じて、2004年この問題を発見し、告発しましたが、今になってもその金額は返還されていません。このスキャンダルが暴露されたことで、大きな非難を受けています。民主党を始めとする野党は安倍首相に任命責任があると指摘し、公明党も意見を出し、遠藤農相の辞任を要求しました。

　安倍政権の内閣では、この短期間ですでに5人がスキャンダルのため辞任しており、しかし、そのうち、3人が農相です。今年5月、松岡利勝元農相は財務や政治資金のスキャンダルに巻き込まれ自殺しました。そして、就任して僅か2カ月も経たない赤城徳彦前農相も8月1日、政治資金のスキャンダルによって辞任しました。このため、農相は政治家の「鬼門」とも言われています。

　自民党が7月の参議院選挙で惨敗した原因の一つは、閣僚によるスキャンダルが頻発し、安倍首相の人事能力が疑われると共に、事件後の対策にも問題があったことにあります。安倍首相は1カ月間の熟慮を重ね、第1次組閣時のような関係の深いもののみ任用するやり方をやめ、8月27日の内閣改造では各分野における実力のある政治家を閣僚に任命しました、そのやりかたには、反対意見を持つ人もいました。今回の内閣改造の目的は新たに国民からの信頼獲得を目指し、どの閣僚に対しても詳しい調査を行いました。「安倍延命内閣」と言われた新しい内閣に対する人々の期待は高く、支持率が10ポイント上昇し、40%に達しました。しかし、思いがけないことに、一週間も経たないうちに、政治と金銭のスキャンダルが暴露されたため、安倍政権は言うまでもなく、大きな衝撃を受けました。「朝日新聞」は社説を発表し、安倍首相の任命責任を問いました。

　専門家は、安倍政権は当面、厳しい局面に立つことになると見ています。日本のマスコミの2日の報道によりますと、問題が出たのは、遠藤農相だけではなく、新内閣成立1週間も経たないうちに、すでに数人の閣僚が政治資金で様ざまな問題が存在していると指摘されています。現在、毎日のように、関係する当事者が記者会見を行い、状況を説明したり、国民にお詫びのコメントをしたりしています。参議院選挙で、野党の民主党が参議院の過半数を占めたことによって、自民党が初めて、参議院の議長の座を失いました。9月10日から始まる臨時国会で、間違いなく、民主党はこのほどの内閣で発生した一連のスキャンダルについて責任を問うことになるだろうと見ています。これにいかに対応するかが、安倍首相の今後の政治生命にかかわるでしょう。