IAEA・国際原子力機関のエルバラダイ事務局長は30日、IAEA 理事会に提出した報告書の中で、イランとIAEA との協力を評価し、イランがIAEA と協力して、その核計画における未解決問題で「大きく前進した」と見ています。この報告書は9月に、IAEA 加盟国によって新たに評価されることになりますが、その内容についての論争はすでに激しくなり、「前進説」と「引き延ばし説」にはっきりと分かれています。
エルバラダイ事務局長は報告書の中で、イランが国連決議に基づいてウラン濃縮活動を中止しなかったことを認めたものの、ウラン濃縮活動は緩やかになったと改めて強調しました。この報告書は、「8月27日に、IAEA とイランは『行動計画』を発表し、計画に基づいて、4カ月以内に、双方の協力についてのスケジュール表を作り、イラン核問題における未解決の問題を解決していくことに合意した」と述べています。 IAEA の官員は「計画行動」を高く評価し、今回のイランの協力は安保理によるイランへの制裁を一段と遅らせるだろうと見ています。
協力スケジュールの作成に責任を持つIAEAのハイノネン事務次長は、「差し迫って解決する必要があるのは、イランのこれまでの核活動と核問題の鍵となる問題を明確にすることだ。今回は、ウラン濃縮と高エネルギー実験でイランが極密の軍事活動を進めたことについて、アメリカが数回にわたってIAEAに文書で提出した内容を新たに評価しなおすことにイランは始めて同意した。イランはIAEAが満足できる回答を出せなければ、満足できるまで、新たな問題を設置する」と述べました。世論は、長い間解決できなかったイラン問題に一つの転機が訪れたと見ています。
しかし、IAEA の報告書と違って、イランを信頼しないアメリカや一部の西側の国は、IAEAとイランによる「『行動計画』は表面的なものであり、実行性のないものだ。今になっても、IAEAはイランの核計画関係者や、文書、施設に自由に接触する権利をもっていないからだ。イランがこの時期にIAEA と合意に達し、協力を約束したのは、時間を延ばし、安保理による新たな制裁を避けるためだ」と見ています。そして、「今後の数カ月間、IAEAとイランの交渉は過去の問題の調査に限られているため、イランは核開発計画の推進に必要な時間を新たに獲得した」と見ています。
「『前進説』にしても、『引き延ばし説』にしても、現時点で、結論を出すのは時期尚早と見られています。しかし、8月27日に発表された「行動計画」と30日の報告書は積極的なサインを出しました。つまり、イランはIAEA と協力を続けるつもりであり、これがイランの核問題の解決につながることは疑問がない」と見る人もいます。
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