中国の中央銀行である中国人民銀行はこのほど、今年第二四半期の「中国通貨政策実施報告書」を発表しました。それによりますと、食品価格の高騰によるインフレのリスクは拡大する勢いを見せ、下半期、中央銀行の主な任務はインフレの拡大を抑えることだと指摘しています。また、中国の金融問題専門家は、「中央銀行の報告書によると、インフレのリスクはすでに政府から注目を集め、これから、価格の上昇を抑える措置がいろいろ打ち出されるだろう」と見ています。
今年の上半期、中国のCPI・消費者物価指数は去年の同じ時期より3.2%上昇し、「3%以下」という今年、政府が定めた目標を上回りました。また、豚肉など食品価格の上昇によって、6月のCPIは去年の同じ時期より4.4%上昇し、ここ三年間で最高を記録しました。
このような情況の下、中国人民銀行は第二四半期の「通貨政策実施報告書」の中で、現在、中国が直面しているインフレの情勢を分析しました。それによりますと、いま、中国では、物価の上昇圧力がますます大きくなっているため、インフレのリスクに注意深く注目しなければならず、また、物価の上昇は偶然的、或いは一時的な要素によるものではなく、インフレのリスクがさらに大きくなる恐れがあると指摘しています。
中国人民大学金融・証券研究所の趙錫軍副所長は中央銀行の判断に賛意を示しました。趙副所長は、「食品価格が短期間の間に下落する可能性は少ない」と次のように語りました。
「これはコストの上昇による価格の上昇だ。豚の飼育や、食料の生産は周期的なもので、生産から販売まで一定の時間がかかる。このため価格は引き続き高いレベルで推移するだろう」
報告書はまた、「現在、政府は食品価格の上昇を抑える一連の総合的な措置を打ち出したものの、食料や肉類の価格というものは短期間の間に上昇しやすく下落しにくいものなので、労働力のコスト上昇など一連の要素を考えると、下半期、インフレのリスクは大きくなるだろう」と指摘しました。
関係者によりますと、中央銀行が金利の引き上げなど、思い切った金融引き縮め措置を取らない限り、物価は引き続き上昇する恐れがあるということです。今年に入ってから、政府は金融引き縮め政策に力を入れ、中央銀行はこれまでに、金利を3回引き上げ、貯金準備率も6回引き上げています。
下半期、中央銀行は金利の市場化改革を推し進め、安定した通貨の金融環境を守り、インフレをコントロールし、物価の全体的な安定を維持し、経済の加熱防止に取り組むことにしています。
また、各級政府も現在、さまざまな措置を講じて、拡大しつつあるインフレの圧力に対応しています。中国商務省は住民の生活必需品の市場情報監視メカニズムを確立し、各地の商品の供給状況に対して監視を行っているということです。深センや南京などの都市も住宅価格の上昇を防ぐ措置を取っているということです。(劉叡琳)
|