中国を訪問中のUNAIDS・国連合同エイズ計画のピーター・ピオット事務局長はこのほど、エイズの影響が深刻になっている中国中部の河南省を視察しました。ピオット事務局長は現地で、エイズ患者の代表、政府部門、医療関係者及びエイズ予防抑制活動を展開しているNGO(非政府組織)の代表と座談会を開きました。ピオット事務局長は、中国がエイズの予防抑制で展開している活動に賞賛の意を表しました。
ピオット事務局長一行は14日から、エイズの感染状況が深刻な河南省上蔡県の南大呉という村を訪れ、エイズ患者の生存状況と政府による救済状況に対し詳しい調査を行いました。17日に北京で行われた記者会見で、ピオット事務局長は、今回の調査を通じて、中国が全国で無料でエイズ治療を実施していることを確認したと述べ、さらに「今回の中国に対する調査は、非常に効果的で、意義があった。私たちは、エイズ患者の家を訪れ、孤児院や小学校及びエイズ治療を行っている診療所を訪問した。私は、ある患者に『あなたの未来はどこにある』と聞いた。その人は涙を流しながら、『政府が抗エイズ治療薬を提供してくれなければ、私はもうとっくにこの世を去っているだろう』と答えてくれた」と語りました。
ここ数年、中国はエイズ予防抑制プロジェクトを積極的に展開しており、エイズ患者の治療環境も著しく向上しています。このため、エイズの感染率と死亡率はいずれも、減少し続けています。政府と社会各界がエイズの予防抑制に払った努力が効果を見せているといえるでしょう 。
また、ピオット事務局長は、中国のエイズ予防抑制活動に対しいくつかアドバイスをしました。まず、エイズ予防抑制活動に対する投入を拡大し、より多くの患者に無料の治療サービスを提供すること。次に、エイズ予防抑制活動への参加をより多くのNGOに呼び掛けること。そして、全社会でエイズ患者への差別を削減するよう、PR活動を展開すること。両親がエイズで死亡し、孤児となった子供たちを援助すること。最後に、青少年の間で、エイズに関する知識の普及を強化することです。ピオット事務局長はさらに「エイズと戦うには、あらゆる国が共同で、努力しなければならない。持続的な投入を行いながら、長期的な視野で取り組む必要がある。過去数年間、中国はエイズの予防抑制で大きな成果をあげた。今後の課題は、この事業を長期的に続けていくことだろう」と述べました。
過去の十数年間、国連合同エイズ計画は、中国のエイズ予防抑制活動を長期的に支持してきました。今回の中国訪問期間中、ピオット事務局長は、政府高官やNGOの代表及びエイズ患者とともに、活動内容や効率向上に向けた取り組みについて討議します。また、ピオット事務局長は、「中国が国際社会との協力を強化し、エイズ予防抑制の経験と方法を他の国に紹介することを求める。特に発展途上国の活動に対する支持を希望する」と語りました。
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