中国政府は、このほど『エイズ予防治療条例』を発表しました。この条例では、地方政府が農村部のエイズ患者や都市部に住む生活が困難なエイズ患者に無料治療を提供することや、いかなる人や機構も医療や就職、入学などの面でエイズ感染者と患者を差別してはならないことが定められました。
中国初のエイズ感染者は1985年に確認されました。中国衛生省やWHO・世界保健機関、UNAIDS・国連エイズ計画のデータによりますと、現在、中国ではエイズ感染者とエイズ患者はおよそ65万人に達しており、そのうち、2005年新たに確認された感染者はおよそ7万人ほどだということです。
中国の王隴徳衛生次官の話では、中国でエイズ感染者とエイズ患者が増えていることを背景にして、この条例は今年3月1日に実施される予定です。また、王隴徳衛生次官は「中国で実施中のエイズ予防・治療の関連法律と規定は、1980年代後半、中国のエイズ感染が急速に増え、感染の範囲が比較的に小さかったという時期に制定されたもので、現在の感染状況と予防作業に対応することができなくなっている。中国は、エイズ予防と治療の原則を明白にし、その関連作業を規範化する専門的な法律を必要としている」と述べました。
関係筋では、この条例の起草には2年近くもかかり、全国範囲で調査や研究を進め、エイズ患者を含む社会各界からの意見をまとめたものです。
中国疾病予防抑制センター・性病エイズ予防抑制センターの呉尊友主任は「新しい『エイズ予防治療条例』は中国のエイズ予防治療作業をさらに推し進めていく」と語りました。
この条例はまた、いかなる人や機構も医療や就職、入学などの面でエイズ感染者と患者を差別してはならないことに重点を置いています。条例によりますと、エイズ患者が有すべき権利は、法律の形で定められるようになります。エイズ感染者と患者は、就職や入学、医療の面でもし差別された時に、法律によって自己の権益を守ることができるということです。
中国の一部地方政府がエイズ予防抑制政策を実施する面での不十分な問題について、呉尊友主任は「法律をどのように実施するかが大切な問題だ」と強調しました。
関係筋では、現在中国では、エイズ予防の面で努力が足りないことによって、一部の政府職員は免職されたということです。中国衛生省の責任者は「この条例をしっかりとらえるよう各地の関係者を指導し、地方の政府職員の法によるエイズ予防意識を高め、条例が着実に実施されるよう保障していく」との考えを示しました。
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