世界銀行はこのほど、中国との協力による「高病原性鳥インフルエンザに対する抑制能力の向上」というプロジェクトをスタートしました。このプロジェクトは、高病原性鳥インフルエンザやその人への感染に対する中国の抑制能力の向上を目指しており、これは世界銀行と中国政府のこの分野における初めての協力プロジェクトとなります。
この協力プロジェクトの実施期間は2年で、世界銀行からの200万ドル以上の寄付金を利用し、中国の遼寧省と安徽省の10の県で関連の研究や訓練を行うことを通じて、中国の高病原性鳥インフルエンザに対する抑制措置を完備させ、人への感染に対する地方の関連部門による発見、診断と報告など総合的な対応能力を強めることを目指しています。
世界銀行中国局の劉暁雲副局長はこのプロジェクトの起動式の席上、「ここ数年、鳥インフルエンザの感染は深刻になり、世界経済に大きな損失をもたらした。中国ではこのプロジェクトを実施する必要があり、高病原性鳥インフルエンザによる人への感染の抑制では、中国はより厳しい試練を迎えている」と指摘したあと、その理由について、「第一に、中国では世界の25%の鶏と65%のアヒルを飼育しているが、その6割以上が住民の庭で放し飼いにされていること。第二に、中国は世界で最も多い人口を有すること。第三に、世界の渡り鳥の移動する八つのコースのうち三つは中国を通っていること。第四に、中国の医療サービスレベルはまだ立ち遅れていることである」と語りました。
統計によりますと、2004年の初めから2006年の末まで、中国大陸では、合わせて91件の鳥インフルエンザ感染例が発見され、40万羽の家禽が感染しています。その上、今年の4月まで、中国の湖南省、安徽省、遼寧省など12の省や自治区では、鳥インフルエンザの人への感染例が23件確認されたということです。
以上のことを受けて、中国は家禽に対する集中的免疫措置をとり続け、特に国境地区の抑制措置の実施に力を入れています。また、保健部門は鳥インフルエンザの人への感染に関する流行病の特徴や、その発病原理と臨床の病状などについての研究を急ぎ、関連情報を適時にWHO・世界保健機関に報告してきました。これらの措置は、鳥インフルエンザの中国での抑制に役立つだけでなく、世界各国にも貴重な情報を提供したことになります。
一方、専門家は、中国の地方政府の、鳥インフルエンザの人への感染に対する観測検査能力とその治療能力を向上させるには、資金や技術上のより多くの支援が必要だと見ています。いま、中国は国連食糧農業機関と共に、緊急技術の協力プロジェクトを展開し、鳥インフルエンザ抑制に携わる専門家による交流の展開と関係者の養成を支援しているのです。(翻訳:劉叡琳)
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