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米下院、イラク駐留米軍撤退期限法案を可決
   2007-03-24 15:08:00    cri

 アメリカ議会下院は23日の本会議で、イラク駐留米軍の撤退を求める内容を盛り込んだ補正予算案を可決しました。その中で、イラク戦費の支出は継続するものの、ブッシュ大統領に2008年8月31日を期限としてイラク駐留米軍の撤退を要請しています。これは、民主党が主導する議会が、初めて予算の審議権を行使してブッシュ大統領の権限を制する動きとなります。しかし、この法案は、ブッシュ大統領に直ちに反対されたため、法律として成立するのは難しいと見られています。

 この法案は、賛成218、反対212で民主党の賛成多数で可決されたものです。その中で、イラクやアフガニスタンの駐留米軍に対する戦費支援として今年中に、合わせて1240億ドルを支出する補正予算を決めました。その上で、ブッシュ大統領に対して、イラク政府が治安や原油収入の分配、憲法の改正などが計画通りに実施できているかどうかについて、7月1日と10月1日の両日までにそれぞれ報告書をまとめ、議会に提出することを求めています。もし、イラク政府がそれを実施できている場合、アメリカが来年の8月31日までに全ての戦闘部隊を撤退させるとしながら、実施できていなければ、撤退の期間を繰り上げることにしています。

 この法案が下院で可決されたことを受け、ブッシュ大統領はただちに「拒否権を行使する」と、反対する考えを示しました。ブッシュ大統領は、「民主党の要求を受け入れることはないし、アメリカ軍指揮官の権限が抑制されることもない」と強調しました。

 これに対して、下院議長で民主党員でもあるペロシ氏は、「アメリカ国民は、ブッシュ大統領のイラク戦略に対して信頼をなくしている。終わりの見えない戦争を国民や議会は支持しない」と述べました。

 アメリカ議会下院がこの法案を可決したのは、去年の中間選挙で発足した新議会が、戦費の予算をコントロールすることでイラク駐留軍の撤退をブッシュ政権に求める初めての試みです。また、ブッシュ政権のイラク戦略に対する大きな挑戦でもあります。これによってブッシュ政権と議会の対立が一層深刻になりました。

 しかし、この法案は下院を通過したものの、拘束力を持つ法律として可決されるのは、極めて困難であると見られています。

 その理由としてまず、この法案が上院で可決されるには、民主党には少なくとも60の賛成票がなくてはならないためです。これは、10人以上の共和党議員の賛成を得なければならないことを意味しています。しかし、共和党はイラク戦略についてほぼ一致した立場を取っているため、そこから10人の議員の賛成を得るのは難しいと見られています。

 また、仮にこの法案が上下両院とも通過しても、ブッシュ大統領が拒否権を行使すれば、またも困難な情勢になってしまいます。ブッシュ大統領が拒否すれば、上下両院では2度目の投票を行い、それぞれ賛成が3分の2以上を占めなければ大統領の拒否権を覆すことはできません。これは、議会でわずかしか優位を保っていない民主党にとって、難しいことと見られます。

 これについて関係者は、「ブッシュ大統領がこのような民衆の意見を表す法案をこのまま否定していけば、自分と共和党を不利に導くことになる。現在、イラク駐留軍を早く撤退させることこそ、賢い戦略だ」と見ています。(翻訳:鵬)

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