中国国務院は8日、北京で行われている全国人民代表大会年次会議に、新しい企業所得税法(草案)を審議するよう要請しました。新しい企業所得税法では、現在の税制を変更し、内外企業の所得税を統一し、企業に公平な競争の市場環境を作ることを目指しています。
中国は1970年代末から改革開放政策を実施して以来、経済を発展させるために、外資を誘致し、外資系企業に対しては国内企業と違った税制を実施してきました。現行の税制によりますと、内外企業の所得税は名目上はいずれも33%となっていますが、一定の地域にある外資系企業に対しては24%、あるいは15%の優遇税率を実施してきました。その結果、国内企業の平均税率は外資系企業より10ポイントぐらい高くなっています。
金人慶財務相は、新しい企業所得税法(草案)について全国人民代表大会に参加した代表たちに説明を行い、「中国の発展に伴い、現行の内外企業の所得税法は、すでに新しい情勢の要求にふさわしくない」と述べました。金人慶財務相は「WTO・世界貿易機関加盟後、国内市場はさらに外資に開放され、国内の企業もますます世界の経済システムの中に入り込んでおり、大きな競争の圧力に直面している。引き続き国内企業と外資企業と異なる税収政策を実施することは、国内企業を不平等な競争地位に陥入れ、統一、規範化された公平な競争という市場環境作りに好ましくない影響を与える」と語りました。
金人慶財務相は「新しい企業所得税法(草案)は国際的な慣例を参考にし、内外企業に対して統一した企業所得税を実施する。統一後の税率は25%とする。これは、国内企業に対しては税金の負担を軽減する一方で、外資企業に対しては負担の増加を最小限にすると共に、財政の減収を受け入れられる範囲に収めることを考慮した。草案に規定された25%の税率は国際的にはやや低いほうで適切であり、企業の競争力の向上と海外企業の投資の誘致にプラスとなる」と述べました。
また、この法律草案では中国の現行の税収優遇政策に対して調整を行いました。優遇政策の主な対象について、技術革新と科学技術の進歩を促し、インフラ施設の建設を奨励し、農業発展や環境保全、省エネを奨励し、生産の安全性を支援し、公益事業を促進する分野などとなっています。そして、特に条件に合う小企業に対しては20%の優遇税率を実施し、国家が重点的に支援するハイテク技術企業に対しては15%の優遇税率を実施することになっています。
このほか、新しい税法が一部の古い企業にもたらすマイナスの影響を緩和するために、草案には一部の古い企業に対して過渡的な配慮を行うことにしています。
金人慶財務相は「国際的な経験から見れば、安定した政治状況、良好な経済情勢、大きな市場、豊富な労働力資源、および絶えず整備されている法制度と政府サービスなどが、外資を誘致する要因である。税収の優遇政策はその一つに過ぎず、新しい企業所得税法の実施が外資の誘致に大きな影響をもたらすことはない」と語りました。(翻訳:胡徳勝)
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