中国の最高権力機構である全国人民代表大会の年次会議は5日午前北京で開幕しました。中国国務院の温家宝首相は中央政府を代表して、3000人近くの全国人民代表大会代表に対し政府活動報告を行いました。数件の重要な措置の発表においては、中央政府の政策の連続性を表しただけでなく、既存の問題に対する解決案を提出しました。過去数年間に続いて、今年の中央政府の活動は依然として、民衆の利益と農民の生活レベルの向上に重点を置き、国民のさまざまな困難を解決することを通じて、調和の取れた社会の構築に力をいれます。
今回の政府活動報告には、6件の内容が含まれています。それは2006年の活動の総括、2007年の活動の全体的な計画、経済の良質かつ急速な発展、調和の取れた社会の構築の促進、改革開放政策の深化、それに政府自身の改革と建設の強化の6件です。
今年中国は引き続き、穏やかな財政と通貨政策を実施する他、去年中央政府が力を入れた省エネと環境保護、農村部における義務教育費の免除、インフラ建設投資の重点を農村に移転するなどの政策をいっそう実行していきます。このほか、中国政府は2004年に、建設分野で未払いとなっている工賃や出稼ぎ労働者の賃金の遅配問題を三年間で解決することをうち出しましたが、これについて、温家宝首相は、「この対策はこれまでにほぼ完了し、弁済した工費は1834億元に達した。中国政府は出稼ぎ労働者問題の政策措置の制定と実施を通じて、その合法的な権益を守った」と述べました。
また、環境保全に関して、温家宝首相は、「去年初めに政府が示した省エネと汚染物資の排出削減の目標を達成することはできなかった」と指摘した上で、「経済と環境の構造の最適化や効率の向上、エネルギー消費の低減、環境保護を図った上で、GDPの成長率を8%前後とする」と述べました。
温家宝首相はこれについて、「今年のGDPの成長率を8%前後としたのは、さまざまな要素を考慮した上で決めたものだ。さらに重要なのは、科学的発展観を真剣に定着させ、活動の重点を構造の最適化や、効率の向上、省エネルギー、それに汚染物質の排出削減に置くことだ。ひたすらに経済成長率を追求したり盲目的に競い合ったりすることは避けつつ、経済の良質かつ急速な発展を実現するよう導かなければならない」と語りました 。
また、中国政府は今回、民衆が関心を持つ就学、医療などの問題に関わる新しい措置を打ち出しました。就学困難の問題に関する新しい措置について、温家宝首相は、「今年の新学期が始まってから、中国は健全な国家奨学金と助成金制度を確立するとともに、国家助成貸付金制度を引き続き推し進め、貧困学生を大学に進学させ、職業教育を受けられるようにする。これは、教育事業の発展と教育の機会均等を進める上で、重要なことだ」 と述べました。
なお、中国政府は都市部と農村部の生活レベルの格差問題に関心を寄せています。これについて、温家宝首相は、「中国は全国的範囲で農村の最低生活保障制度を構築する。これは『農業、農村、農民』という『三農』問題への取り組みを強化し、調和社会を構築するためのもう一つの重要な措置だ」 と語りました。
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