温家宝首相は、5日に開幕した中国の最高権力機関である全国人民代表大会の年次会議で政府活動報告を行いました。その中で、温家宝首相は「中国は、これからも、ゆるぎなく平和的発展の道を歩み続け、各国人民とともに、長期的平和と共同繁栄を有する調和の取れた世界の構築に努めなければならない」と述べました。このことから、ここ数年、中国が打ち出した「調和の取れた世界」の理念と、それに深くかかわる平和的発展観は、国際的にも注目を集めていることがわかります。
温家宝首相は5日に開幕した全国人民代表大会の年次会議の席上、「調和の取れた世界の構築とは、政治上の平等と民主、経済上の互恵協力、文化の交流と促進を意味し、国と国の友好協力を通じて、世界の安全に対する挑戦に対応し、世界の恒久的平和と共同繁栄を実現する。複雑な国際情勢の下で、われわれは平和、発展、協力の旗印を掲げ、平和的発展の道を揺らぐことなく歩んでいかなければならない」と述べました。
実は、中国の指導者はこれまで何回も以上の理念に言及したことがあります。したがって、ここ数年、このような理念は国際的にも広く認められるようになっています。アメリカ・メリーランド大学の戦略・企業研究専攻のアニール・グプタ教授は「平和的発展観と調和の取れた世界の理論は互いに相乗関係にある。平和的発展は、中国と各国のバランスよい関係を意味する。平和的発展観は、ウィンウィンの理念を中心としているため、一方的な考え方ではなく、各国にとってもマイナスとならない」と語りました。
タイの中国駐在大使は温家宝首相の政府活動報告を高く評価し、「温首相の政府活動報告では、中国の発展が平和と安定の発展だと明言している。これは、各国が関心を持つところでもある。中国が大国であるため、各国は、中国の発展の方向性にも注目しており、中国が調和と発展を強調していることに満足している」と述べました。
また、「調和の取れた世界」と「平和的発展観」は、中国の伝統文化と哲学に基づいたものだという見解もあります。シンガポール南洋(ナンヤン)理工大学高等研究所の潘国駒所長は「平和の和という文字は本当に味わい深い。和気、調和、平和はすべて中国文化の中心となる内容である。中国は、穏健で調和の取れた道を堅持すれば、世界の信頼や発展途上国の支持を得ることができる」と述べました。(翻訳:ミン亦氷)
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