このほど、イギリスから、20万トンのゴミなどの廃棄物が中国に運び込まれました。このゴミは、現地の環境に大きな影響を及ぼしています。イギリスが頻繁に中国にゴミなどの廃棄物を運びこんでいることは、中国で大きな社会不満となっています。政府の関連部門は、すでに調査を始めました。

　今回、イギリスから運びこまれたゴミの目的地は、中国南部の広東省仏山市にあるプラスチックゴミの集積地です。現地政府は、主要な道路で車両検査を行い、ゴミなどの廃棄物を積んだ貨物を発見すれば直ちに取り締まることにしています。仏山市の責任者、呉邵秋さんは、「現在、運び込まれたゴミ廃棄物の場所を調査しています。最終的に処理業者を取り締まっていく計画です」と語っています。

　調べによると、イギリスから、毎年中国に運びこまれるゴミ廃棄物は190万トンにのぼり、大部分は使われなくなった電子製品です。これらの廃棄物は、広東省の一部の地区の環境を汚染しています。

　この行為は、中国で大きな反発を引き起こしました。上海社会科学院法律研究所の楊鵬飛副研究員は、「廃棄物の持ち込みは中国の法律に違反しており、有害廃棄物越境移動の規制に関するバーゼル条約にも反する」と指摘しました。規制があるにかかわらず、中国に運びこまれるゴミ廃棄物が後を絶たない原因について、楊副研究員は、「今、廃棄物処理は、非常に難しいです。外国政府もこの問題に悩まされています。しかし、廃棄物を発展途上国に運び出せば、先進国にとっても処理コストが相当安くつきます」と述べました。

　今まで中国に送られたゴミは、電子関連の廃棄物が多かったのに対して、今回は大部分が生活ゴミとプラスチックゴミです。これは、住民とその周囲の環境に大きな危害をもたらしています。北京市に住む環境保護に詳しい毛利さんは、「これらのゴミを燃やして処理すると、有害ガスが排出されます。そのなかにはダイオキシンが入っているのも確認されました。ダイオキシンの特徴は、影響が短期間では消えないことです。人の免疫システムを害し、内分泌を乱し、そして癌を誘発することも証明されました」 と語りました。

　イギリスが中国に廃棄物を輸送することは、環境保護問題に取り組む国際組織、グリーンピースも注目しています。有毒物汚染防止担当の岳毅樺主任は、「責任の所在という意味でいえば、これらの廃棄物は、中国に運搬した会社の責任で、運び戻さなければなりません。これまでにも前例があります。税関がこのような違法な輸送を発見すれば、持ち帰らせるよう処理すべきです」 と語っています。

　現在、まだ調査が続いています。中国税関は、廃棄物の密輸取締りに力をいれ、中国の環境保全や国民の健康を守るとしています。中国環境保護総局は、ＥＵ・欧州連合と、廃棄物越境移動の防止や取締りの協力について、検討を続けています。（翻訳：李軼豪）