イギリスのリード内相は11日、去年7月7日のロンドン同時爆破テロに関する初の報告書を発表しました。
この報告書は「4人の自爆テロ実行者はテロ組織のやり方をヒントに、独自でテロ行動を行った。この4人はインターネットを利用して爆弾の製造技術をマスターしたのであり、このテロ行動はテロ組織とは直接関係はない。この4人のイスラム教徒は西側から不当な扱いを受けているとの思い込んだことが動機と見られる」としています。
この報告書は、イギリス内務省と議会の情報・安全保障委員会の調査をまとめた上で発表したものです。報告書は、「去年、同時爆破テロ発生前にイギリスの安全部門はすでに自爆テロ実施について2人のテロリストの情報を入手した。この2人はパキスタンに滞在したことがあり、しかもアルカイダと接触した可能性がある。しかし、情報部門は、これら実行者が脅威であったとは認識せず、事件の発生を阻止できなかった」と指摘しています。
去年7月7日、イギリス在住の4人のイスラム教徒はロンドンの地下鉄とバスで自爆テロを実行し、これによって52人が死亡し、700人あまりが負傷しました。これは西ヨーロッパで発生した始めての自爆テロ事件となっています。イギリス政府が発表したこの報告書から、ロンドンでの爆破テロ実行者は国際的なテロリストではなく、イギリス在住のイスラム教徒であるため、アメリカでの9.11多発テロとは異なることがわかりました。
ところで、世論は「この事件の発生には、深い社会的な原因がある。イギリスにはイスラム教徒160万人がいるが、これら人々はイギリスの主流社会に入れないでいる。その原因として、まず文化と宗教の食い違いが上げられる。一般のイギリス人と、イギリス在住のイスラム教徒も、イスラム教はイギリスの伝統的文化ではないと見ている。また、イスラム教徒の地位が低く、賃金の低い職業についていることも原因の一つである。このほか、イギリスで生活しているイスラム教徒はイスラム社会の見解をもち、70%のイスラム教徒はイギリス政府のアフガニスタンとイラクに対する政策に反対している」と分析しているのです。
専門家は、一部のイスラム教の青年たちはイスラム教のテロリストに同情を寄せ、彼らにとって、宗教への忠誠心は移民国であるイギリスへの忠誠心より大切だとみなしていることも原因として取り上げているのです。ロンドン同時爆破テロ発生後、実行者4人のふるさとでは多くの若いイスラム教徒がテロ行為への理解と同情を率直に表しました。どうして自爆テロを起こし、同じ国にすむ国民を襲撃するのかという質問に対して、彼らは「ブッシュ大統領とブレア首相は5000万人ものイスラム教徒を殺したのに、どうして彼らを非難しないのか。彼らは石油と金を獲得するためイスラム教徒を殺したのだ。しかしわれわれは違う」と答えています。これは、イスラム教徒が、宗教信仰を尊重することはヨーロッパの自由獲得というライフスタイルよりもずっと重要だとみなしていることを意味しているのです。
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