日本の地方裁判所にあたる中国高級法院の院長会議が昨日、中国東部の山東省の省都・済南で開かれました。これは年に一度行なわれるもので、席上、日本の最高裁にあたる中国最高人民法院の肖揚院長は「地方裁判所に当る法院の基本的な職務は、社会の矛盾を解消し、社会の安定を維持すること。そして経済の発展を保障し、調和の取れた社会の発展を促進し、公平と正義を実現させることにある」と強調しました。
法による政治、「法治」は社会矛盾を解消する最も重要な道のりであり、司法はその最終手段です。矛盾を解消するには、公平と正義を結びつけ、厳粛な法律と人情味が共存する仲裁などの司法手段に頼らなければなりません。今年の院長会議のテーマは、調和の取れた社会主義社会を構築に対し、司法面でいかに保障するかということです。中国最高裁の肖揚院長はこれについて、2020年までの中国地方裁判所の目標を、つぎのように語りました。
「2020年までに、審判の制度とそのプロセスをさらに改善し、司法活動を公正で能率的、かつ権威のあるものにする。公平と正義を守り、調和の取れた経済の発展を促す司法の機能を健全化させる。社会の矛盾を解消する司法の手段を多様化し、その手続きを簡略化する。人権保護に関する法律を充実させ、公民の訴訟の権利を着実に守る。司法の透明性を高め、民主的な司法制度を完成させる。裁判官の資質向上と専門化を実現させる」
去年、中国共産党中央委員会は、調和の取れた社会主義社会の構築に向け、各事業に対して、基本的な要求を出しました。民主的な法制度を推し進め、国民の権益を保障することを任務とする地方裁判所にとって、その役割がどれだけ機能しているかが、調和の取れた社会、構築に向けた重要な指標となります。肖揚院長は、「案件を審理する際、裁判所は厳正かつ能率よく進め、刑事司法の分野における人権保障を強化していくべきだ」と指摘し、次のように話しました。
「司法を公正に推し進め、厳正に審理することを最も大切だと考えるべきだ。最大の力を注ぎ、最も有力な措置を講じ、最も良い条件を作り、審判プロセスの合法性を守り、誤審を最大限に防ぐ。法に基づいて、被告の人格を尊重し、被告の控訴の権利を保障し、被告とその弁護士の意見を十分に聴取した上で、被告が合法かつ公正に審判を受けることを確保する。適切に処罰し、量刑を決めることを通じて、罪のない人は刑事処分を受けないことを確保する」
統計によりますと、全国の地方裁判所は年間に処理する案件がおよそ800万件で、その多くは民事事件です。肖揚院長は、「裁判所が公正に揉め事を解決し、各側の利益を法に基づいて調整し、社会全体における公正と正義を最大限、保障すべきだ」と示しました。
現在、中国の経済発展の鍵となる時期に入りました。経済システムの革新に伴って、隠されていた矛盾と課題が徐々に表面化してきました。各地の経済と文化の発展はバランスが取れておらず、経済的に貧しい人たちを、法律がいかに援助するかが、司法の重要な課題となっています。肖揚院長は、「裁判所は、経済的に苦しい人々の司法へのニーズを十分に配慮し、法律による手助けの制度を充実させていく」と示し、また、次のように説明しました。
「裁判所は、経済的に貧しい人々と当事者に必要な法律サービスと控訴の指導を行なうとの義務を担うべきだ。また、司法援助を通じて、貧しい人々が控訴費用を負担できないなどという問題を解決していくべきだ。」
肖揚院長はさらに、「裁判所は人々の利益を最大限、保障し、そのニーズを満足させるべきだ」と強調し、つぎのように語りました。
「司法の各種作業は、矛盾と揉め事を解消するため、また社会の安定を維持し、経済の発展を促進するため、そして、根本的には、最も広範な人々の利益を維持し、実現させ、発展させるためのものである」
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