中国の温家宝首相は9日、第9回中国・EUサミットに出席し、合わせて、フィンランド、イギリス、ドイツ三ヵ国を訪問する予定です。中国とEUの関係は今どうなっているのか、温家宝首相の今回の訪問はその両者の関係にどんな影響を与えるのかについて、中国国際問題研究所の扈大威研究員に話を聞きました。今日のこの時間は、これについてお伝えします。
温家宝首相は今回のサミットについて、「中国とEUの全面的な戦略的パートナーシップに基づき、『中国・EU新枠組協定』に出来るだけ早く調印することについて議論したい。双方の協力関係は各国の指導者の更迭や事件の発生によっても変化することはない」と述べました。この協定について扈大威研究員は、
「『新枠組協定』は1985年に調印された『欧州共同体(EC)と中国貿易経済協力協議』に替わるものである。この20年前の協定は、現在の中国・EU間の戦略的パートナーシップにふさわしくない。両者の関係に強い法的根拠を与えるため、新協定の調印が必要となった。今回の協定は双方関係をさらに強めていくだろう」と述べました。
扈大威研究員は、また、「中国・EUの関係は安定しており、良好な方向に進んでいる。温家宝首相がフィンランドやイギリス、ドイツを訪問し、この三ヵ国と一連の協定に調印することにより、中国とEU各国との関係はさらに緊密となるだろう」と語りました。
中国とヨーロッパ各国が国交樹立して30年、双方は政治面で互いに信頼を深め合い、首脳同士の往来も頻繁となっており、重要な国際問題に対して、共同歩調をとることも増えています。ただ、食い違いも少なくありません。例えば、中国への武器輸出禁止、貿易摩擦などの問題です。これについて、扈大威研究員は、
「これらの食い違いを乗り越えるには、双方の意見の違いを認めた上で、真正面から対処することが最も大切である。その歴史的背景や文化の違いをよく理解し、対話を強化して共通の認識を求める。将来に目を向け、戦略的立場から双方の関係を考え、困難を克服すべきだ」と述べました。
扈大威研究員は、さらに、「ここ数十年で、中国の国力は絶えず強まり、国際社会における影響力も日一日と高まっている。温家宝首相が今回のヨーロッパ3ヶ国訪問で各国指導者と会談すること、そして、アジア・欧州会合に出席することは、中国とEU、アジアとヨーロッパの関係にも影響を与えるだろう」と述べました。今回の会議の主催国であり、輪番議長国でもあるフィンランドの外相は以前、「中国の発展は世界のチャンスだ」と語りました。扈大威研究員は、これを受け、「EUは、中国の発展を積極的にとらえている」と考えています。
「経済のグローバル化を背景に、中国経済と世界経済は、より緊密に結びついている。中国とEUの貿易協力によって、中国の大きな市場や質の高い製品がEUに大きなチャンスを与えた。だからこそフィンランドの外相は、中国の発展、そしてEUが中国と貿易協力を発展させることついて、積極的な評価をしているのだろう」と述べました。
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