国連安保理5つの常任理事国とドイツの代表はこのほどウイーンで会議を開き、EUの提出したイラン問題に関する包括的解決案を討議しました。
報道によりますと、EUはイランに二つの選択肢を提案しています。イランがウラン濃縮を放棄すれば、EUから一連の優遇措置を受けられること。そうでなければ、イランは制裁を受ける恐れがあるということです。その解決案によりますと、イランがウラン濃縮活動をやめれば、各国はイランの安全を確保し、イランに一つの軽水炉と核燃料などを提供します。一方、ウラン濃縮を放棄しなければ、安保理は『国連憲章』の第7章第41条に基づいてイランに制裁を加えます。つまり、イラン政府関係者へのビザ発給を停止することや、国際会議への参加を禁止すること、財産を凍結すること、武器や石油などの輸送禁止などの強制的措置を講じるということです。しかし、国連憲章の第42条、つまり「必要な時に被制裁国に武力行使をする」ということには触れておらず、イランに武力行使する可能性はないことが明らかにされました。
計画によりますと、新解決案は五つの常任理事国とドイツの討議を経て六ヶ国の外相が合意してから、EUからイランに提出する予定です。メディアの予測によりますと、EU、アメリカ、ロシア、中国の間でイラン核問題の解決への道筋や、目標、手段にまだまだ食い違いが存在しているため、合意に達するまでまだまだ時間がかかりそうだとのことです。
ここ数年、EUとアメリカの食い違いはメディアの注目を集めています。アメリカは武力行使の権利を放棄したがらず、イランに「安全保障」を提供したくないほか、EUの提唱したアメリカとイランの直接対話に興味がないということです。
アメリカはまた、イランとビジネス関係のあるEUの企業に反対の態度を示しています。29日付けの『ワシントンポスト』によりますと、アメリカは外交手段によるイラン核問題の解決に熱意を失っています。そして、イランに対する大規模な経済制裁計画を立て、新しい解決案が再び拒否されれば、この制裁計画を直ちに実施するほか、EUの関与も呼びかけるということです。これに対し、アメリカが主張している大規模な制裁はイランばかりでなく、EUにも巨大な損失を与えるため、EUの反応は冷たいものがあります。
EUの新しい包括的解決案に対し、イラン側はどんな態度を示してくるのか、まだ先が見えません。イランのアハマディネジャド大統領はこの案は「チョコレートと黄金の交換計画だ」とこき下ろしています。マレーシアを訪問しているイランのモッタキ外相は29日、「イランにとって、当面の急務は核技術を持つ権利を維持することだ」と重ねて表明しました。
とにかく、国際社会は十分な根気と知恵を持って、イランに関心を寄せれば、イラン核問題は外交ルートによって解決できるだろうと見られています。(05/30)
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