国連安保理の5つの常任理事国とドイツの代表は18日、モスクワで会議し、イランの核問題解決について討議することになります。今回の会議は4月29日にIAEA・国際原子力機関のエルバラダイ事務局長がイランの核問題についての新しい報告を安保理に提出する前に行なわれるもう一つの重要な外交的な努力です。イラン問題の行方は世界の注目を集めています。
今回の会議は、3月の末、ウラン濃縮活動を一時的に中止するようイランに要求した安保理議長声明が採択された20日間後に、イラン問題の解決が進展が見られなかったばかりではなく、これによって引き起こされた緊迫した情勢が一段とエスカレートした状況の下で開かれるものとなります。
イランの核問題は改めて、外交手段による解決か、或いは対立がエスカレートするかと言う岐路にたたされました。ロシア原子力局のキリエンコ長官はこのほど「イランのウラン濃縮は実験室レベルにあり、核兵器を製造するレベルに未だ達していないため、外交的手段によって解決できる可能性がある」と述べました。
今回の会議に出席する中国外務省の崔天凱補佐官は「交渉と外交的手段によって、イラン問題の適切な解決を図ることが依然として最もよい選択であり、各方面の利益に符合する」と述べ、自制を保ちながら、情勢を悪化させる行動を取らないよう各方面に呼びかけました。
しかし、アメリカ国務省のマコーマック報道官は「アメリカは今回の会議で資金凍結、イラン指導者の出国制限などを含むイラン制裁措置を実施するため、同盟者の支持を求めるつもりだ。しかし、イラン国民に大きな負担を課さないようにするため、制裁には原油や天然ガスの分野を含めない」と述べました。
いろいろな動きを見て分かるように、EU ・欧州連合諸国もアメリカのこうしたやり方に同意しています。イラン問題の平和解決の可能性はあるものの、そのための努力はより大きな試練に直面していると見られています。
アメリカのこうした態度に対して、イランは引き続き、目には目を、歯には歯をという方針で対応するつもりのようです。イラン革命自衛隊のサファビ司令官は「経済制裁にしても、軍事攻撃にしても、イランはすでに如何なる局面にも対応できる準備を整えた。中東地域に駐屯しているアメリカ軍は全部イランの監視下にある。アメリカがイランに対して、軍事攻撃をすれば、より大きな損失を受けるだろう」と述べました。
アハマディネジャド大統領が去年の夏就任してから、イランは西側からの圧力に対し、独自の行動を取り、自らの核の権利を計画的、段階的に守ろうとする行動を取ってきました。
欧州のマスコミはウランの転換活動とウラン濃縮に関する科学研究活動の再開がEU ・欧州連合との交渉におけるイランの立場を高めるためのものであるなら、今回の低レベルのウラン濃縮の成功はアメリカに対して、直接交渉をせまるためのものであろうと見ています。と言うのは、イランの核問題について、決定的な権力を持っているのはEUやエルバラダイ事務局長ではなく、アメリカだとイランははっきり認識しているからです。
国際問題の専門家は「ますますエスカレートしているイラン問題に対し、関係各国は冷静を保ち、外交手段による解決を堅持し、対立のエスカレートをさけるべきだ」と主張しています。
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