6月9日発生したイスラエル軍がガザの海岸を砲撃した事件は、パレスチナで新しい反イスラエルのブームを起こしました。連日、パレスチナの暴力衝突は絶えずエスカレートしていることから、一年余りの停戦情況は不安定となり、パレスチナの内部矛盾も激化しました。
アラビアテレビは、イスラエル軍が9日ガザ地帯北部の海岸を砲撃した映像を続けて流しています。この砲撃によって、海岸で週末を過ごしていた7人のパレスチナ人が死亡しましたが、そのうちの6人が同じ家族です。それに対して、イスラエル軍は庶民の死傷に遺憾の意を表しましたが、この事件で最終的結果が出る前に、イスラエル軍は責任を負わないと表明しています。しかし、パレスチナ側は「イスラエル軍はこの惨事に責任を負うべきだ」と見ています。パレスチナのイスラム原理主義組織・ハマス傘下の武装勢力は連日、イスラエル南部地区へ30発のロケッ ト弾を発射しました。それを受け、イスラエル軍は引き続きパレスチナ武装勢力に掃討作戦を行っています。このため、パレスチナとイスラエルの情勢が再び悪化してきました。
世論は、暴力衝突の急速なエスカレートがパレスチナ政権、及びパレスチナとイスラエル情勢に影響を与えたと 見ています。
まず、パレスチナ自治政府のアッバス議長が出した住民投票の見通しは見えなくなりました。10日、アッバス議長はイスラエルを認めてパレスチナ国家を建国する内容の和平案について、是非を問う住民投票を7月26日に実施すると表明しました。今までの世論調査からは、大部分の人がこの提案を支持していました。しかし、ガザ地区海岸の惨事が起こった後、パレスチナ住民が怒り、数千人がデモ行進を行い、復讐行動を取るようハマスに要求しました。それによって、ハマスの住民投票に反対する態度はさらに強硬となりました。11日、イスラエルに拘留されたハマスとイスラム聖戦組織・ジハードの指導者は共同声明を発表し、先月調印した住民投票に関する協議に反対すると発表しました。また、ハマスはアッバス議長が住民投票を通して、ハマス自治政府を覆す目的を非難しました。
次は、パレスチナとイスラエルの停戦情勢は危険になっています。海岸の惨事が発生後、ハマス傘下の武装勢力は17ヶ月間も続いてきた停戦を終了し、再びイスラエルを襲撃すると発表しました。11日午後、ハマス武装勢力はイスラエル南部地区に十数発のロケット弾を発射しており、一人のイスラエル人が重傷しました。それに対し、イスラエル空軍はミサイルを発射しましたが、これにより二人のハマスメンバーが死亡しました。アナリストは「ガザ地区の海岸の惨事は、パレスチナとイスラエルの停戦状況を壊した」と見ています。
しかし、現在ハマスの政治指導者は停戦協議を遵守しないとは正式には発表していません。パレスチナの高官は「これは、ハマスが政権を持っていることから、勝手に停戦協議を破れば、ハマスの指導者はイスラエルの主な攻撃対象になる。そうすると、ハマスは再び地下活動に戻り、ハマスがリードした自治政府は困難な状態に陥る」としています。
そこで、世論は冷静な態度を保ち、再び暴力の悪循環を避けるようイスラエルとパレスチナに呼びかけました。
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