これまで、パレスチナとイスラエルの人質危機は、既に1週間が経過しました。しかし、拉致された兵士を救出するため、イスラエル側の圧力をかけた軍事行動はその効果を果たさず、外交分野での交渉もさまざまな困難に直面しており、人質危機の前途は依然として、不透明になっています。イスラエルの国内治安機関シャバクのディスキン長官は7月2日、「人質危機は数週間か数ヶ月間続く可能性がある」との考えを示しました。
イスラエルのシャリット兵士が先月25日、パレスチナ武装勢力に拉致された後、イスラエルは28日、ガザ地区に侵入し、パレスチナ自治政府の副首相、閣僚、議員などを含むパレスチナ原理主義組織(ハマス)の指導者数人を逮捕しました。圧力をかける軍事行動を通じて、シャリット氏の釈放をパレスチナに要求しようとしています。イスラエルは2日、攻撃ヘリコプターでミサイルを発射しパレスチナ首相府を襲撃しました。これについて、イスラエルは、「今回の空襲の目的は、パレスチナ政府首相のハマスの指導者ハニヤ氏に警告することにある。彼の運命はシャリット氏の安全と大きく関わるものだ」としています。しかし、イスラエルによるこの一連の軍事行動は効果的なものなのかどうか、疑われています。
まず、空襲と国境の閉鎖は、ガザ地区の食品、燃料と電力の不足を引き起こし、地元の住民を新しい人道主義危機に陥らせ、国際社会の不安と避難を招いています。
次に、イスラエル軍の軍事行動は、パレスチナ人からの敵視を深めるもので、ハマスへの支持率も下がらず、あがる一方です。伝えられるところによりますと、これまで、イスラエルは、シャリット氏の行方について、何も分からないということです。肝心な情報が不足しているため、イスラエルは効果的な救出活動を展開することはできません。
一方、イスラエルの長期的な占領により、パレスチナ人のイスラエルに反対する声が高まっています。民意調査によりますと、シャリット氏を無条件で釈放することに反対し、イスラエルに拘束されたパレスチナ人を釈放すべきだということを堅持するパレスチナ人は、80%に達したということです。イスラエル軍兵士を無条件で釈放すれば、ハマスが国民の中でイメージダウンになると見られています。これも、人質危機が難局に陥る原因となっています。
また、ハマス内部の政治機構と軍事機構は、それぞれ地元派と海外派に分かれています。今回のイスラエル軍兵士拉致はどちらによる決定か、まだ不明です。パレスチナ自治政府の高官は2日、「現在、ハマスの指導者らは、それぞれ各自の意見を持っており、拉致問題での一定した責任者はいない」と述べました。
人質危機によるパレスチナとイスラエルの衝突のエスカレートを予防するため、国際社会、特にアラブ諸国は、双方の間で外交面での交渉を緊密に行っています。交渉活動に参加したエジプトの高官は2日、「現在、交渉はまだ失敗しておらず、より多くの衝突を防ぐため、エジプトは交渉を通じて、今回の危機を解決することを堅持していく」と述べました。
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