IAEA・国際原子力機構が12日、ウイーンで会議を開きました。イラン核問題の解決に良好な雰囲気を作るため、1週間にわたるこの会議ではIAEAのエルバラダイ事務局長の提出した最新報告を審議し、イラン核問題を討議するものの、如何なる決議も可決しないということです。
この会議は国際社会がイラン核問題の行き詰りを緩和し、ある程度の進展を遂げた背景の下で行われたものです。6日、EU・欧州連合外交・安全政策担当のソラナ上級代表は、国連安保理5つの常任理事国とドイツの6ヵ国が提出したイラン核問題に関する包括的解決案をイラン側に渡し、イラン核問題の解決の機会をもたらしました。これに対し、イラン側は、「包括的解決案には積極的な措置が含まれており、各方面と無条件の交渉を行う意見がある」との考えを示しました。一方、エルバラダイ事務局長が8日提出した報告によりますと、イランはこの日、164台の遠心分離機の使用を再開し、合わせて新しい分離機を設置し、さらに、IAEA査察チームの監視設備設置を拒否したということです。六ヶ国の包括的解決案に対し、イランのモッタキー外相は、「イランはこの案に補充意思や、自らの解決案を提出する可能性がある」と示しました。また、イランのエルハム報道官は12日、「イランは六ヶ国の新しい解決案を真剣にかつ全面に考慮するが、核燃料加工に関する正当な権利については如何なる交渉もしたくない」と語りました。
これと同時に、アメリカのブッシュ大統領は「六ヶ国方案について、イランに数週間の猶予期間を与える」と語りました。また、12日、アメリカとEUはIAEA理事会会議でそれぞれの意見書を発表し、IAEA理事会のメンバーが共にイランに圧力をかけ、イランが包括案について交渉するよう呼びかけています。アメリカは意見書で、「イランがこの案を拒否すれば、国連安保理への提出を含む関連措置を講じる」と警告し、EUは意見書で、「イランが国際社会の信頼を得るカギはウラン濃縮に関する全ての核活動を全面的に中止することだ。イラン側が妥協しなければ、国連安保理はやむなくイランに圧力をかけることになる」としています。
IAEAのソルタニエイラン代表は12日のIAEA理事会会議で、これまでのイランへの訴えを繰り返すことなく、当面の情勢を損なう如何なる行動をも避けるよう西側諸国に呼びかけ、「当面の急務は冷静かつ建設的な討議を行うことだ」と語りました。
これに対し、ウイーンのあるEU外交官は、「イランは今週中に、『六ヶ国方案』に一応の回答を寄せるだろう。現在は微妙な時期で、各側は余計な議論を控えた方がいい」と語りました。 (06/13)
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