イランのアハマディネジャド大統領は17日談話を発表し、EU・欧州連合が検討中のイラン核問題に関する新しい包括的解決案を正式に拒否しました。これによって、EUが自負しているこの新しい解決案は提出されずに大きな困難にぶつかっています。
アハマディネジャド大統領は17日、イラン中央州の都市アラクでの集会で、「イランはウラン濃縮中止に関する如何なる提案をも断固として拒否する」と改めて強調し、『核拡散防止条約』の締約国をこの条約から追い出すようなことをしないようEUに警告しました。
同じ日、イラン外務省のアセフィ報道官は、新しい提案で、EUがイランに優遇条件を提出したことに触れた際、「イランは経済面でEUに優遇条件を提供し、その代わりに、ウラン濃縮の権利を認めて欲しい」と述べた後、「7000万人の人口を持つイランの市場はEUにとって大きな誘惑だろう」と語りました。
15日のEU外相会議で提出されたイラン核問題に関する包括的解決案で、EUはイランにいくつかの優遇条件を提出しました。例えば、より多くの経済的、政治的支援し、イランで安全な核拡散防止型の民用核計画の確立を支持することなどが含まれています。その代わりに、イランがウラン濃縮を永久的に放棄することが求められています。また、イランの民用核計画を支援するカギとなる内容として、イギリス、フランス、ドイツの三ヵ国はイランに先進的な軽水炉を提供する予定です。ただし、イランは自国でのウラン濃縮をやめ、建設中の重水炉プロジェクトを中止し、新しい軽水炉に燃料を提供するためのウラン濃縮活動をロシアで行うことを条件としなければならないということです。
この新しい提案はEUが去年8月に出した包括的解決案とほぼ同じだと見られています。去年8月の提案がイランに拒否された根本的な理由は、EU側はイランにウラン濃縮に関する全ての活動を中止することを要求し、一方で、イラン側はウラン濃縮の権利を堅持していたからです。今回のEU新提案に対し、イランは冷たい態度を示しています。アハマディネジャド大統領を始めとする政府高官は、「イランの核開発権利を奪う如何なるEUの提案も断固として拒否する」という立場を繰り返し強調しています。そのほか、この新しい提案にアメリカからも冷たい態度を示しています。アメリカホワイトハウスと国務省の報道官は16日、相次いで新提案への懸念を示し、イランが核計画を放棄すべきだとのアメリカ側の一貫した立場しか示しませんでした。
計画によりますと、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、ドイツの六ヶ国の外相は19日、ロンドンでイラン核問題をめぐる交渉を行いますが、これに先立って、イギリス、フランス、ドイツ三ヵ国は新しい解決案を六ヶ国に提出して討議しなければなりません。新しい解決案の不確定さにより、これまでのタイムテーブルが遅れることになるでしょう。(05/18)
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