国連安保理が3月29日に発表した議長声明によりますと、イランは一ヶ月以内にウラン濃縮に関する全ての活動を中止しなくてはならないとされていましたが、4月の28日が、その活動中止開始の期限となります。この一ヶ月以来、イランはこの議長声明を何度も拒否したことから、西側諸国、特にアメリカはイランに制裁を加えるため、頻繁な外交活動にでており、イラン核問題はすでにこう着状態にはいっています。
安保理の議長声明によりますと、IAEA・国際原子力機関のエルバラダイ事務局長は、イラン核問題に関する新しい報告をIAEA理事会と国連安保理に提出するということです。この新しい報告の基調や内容について、メディアはいろいろと分析や予測を行っていますが、一部の新聞は「この報告は、一ヶ月以来のイランの態度を前向きに評価しないだろう。その理由は、議長声明を拒否し、ウランの濃縮活動を中止せず、4月の11日には低純度ウランを濃縮したと発表したからだ」としています。
イラン政府の高官はこのほど一連の強硬な談話を発表しました。アハマディネジャド大統領は26日、「ウラン濃縮活動の中止を求める議長声明に、イランは絶対に妥協しない」と改めて強調し、イランの最高指導者ハメネイ師も当日「アメリカ人にわかってほしいことは、イランに攻撃を与えれば、彼らの世界各地のすべての利益が損われるということだ。起こしうるすべての襲撃に対してイランは猛烈な報復を行う」と語りました。
イラン側のこのような強硬な態度に対し、アメリカの対応が国際世論の注目の的となっています。長い間、アメリカはイランを「ならずもの国家」とか「邪悪の軸心」と呼んでいます。ブッシュ大統領がこのほど発表した『国家治安戦略報告』では「イランはアメリカの最大な脅威になるだろう」としており、長い目で見れば、イラン問題を解決することはアメリカの中東地区における戦略的目標の一つであり、「先制的」な軍事攻撃を含む軍事手段の行使をアメリカは辞さないとしているのです。
しかし、多くの専門家は、「今、アメリカはイランに軍事攻撃を加える条件は整っていない」と見ています。イラク戦争によってアメリカは苦境に陥り、いま、アメリカ国民は、左右できない戦争の発動を支持していません。そしてより重要なことは、アメリカにとって、イランの行為はアメリカ政策の最低限の実施にとって厳しい挑戦となっているのです。今のところ、イランによるウラン濃縮活動はまだ科学研究の段階にあり、濃縮されたウランの純度は低く、高純度の濃縮ウランでなければ、核兵器の製造は難しいことから、ブッシュ大統領とアメリカの政府高官は依然として外交ルートによるイラン核問題の解決を望んでいる一方で、軍事手段を含む他の選択はあると強調しています。
これについて関係者は、「ロシアや中国など多くの国は西側諸国、特にアメリカとは、イラン核問題における着眼点や予測、目的、処理などで大きな意見の食違いが存在しているため、安保理が短期間内にこの問題で一致に達することは容易ではない。こう着状態にあるイラン問題に対し、各国は忍耐強く慎重にこれに対応し、対話を堅持して、対抗を避けるよう努力しなければならない」と見ています。
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