2005年、国連が成立60周年を迎えました。この一年、国連は各加盟国の期待と激しい論争の末、ようやく改革の歩みを始めました。
これまでの60年、国連は世界の平和を維持し、人類の進歩と発展を促進する面で重要なかつほかに変えがたい役割を果たしてきました。しかし、月日が経つのに従って、機構の巨大化、効率の低下、会費徴収の難しさなどの問題が相次いで出ており、石油と食品交換計画のスキャンダルは更に国連のイメージを損ないました。冷戦後、テロリズム、犯罪の国際化、環境の悪化と生態系の被害など現代的な諸問題が世界の平和と安全を直接的に脅かしていますが、国連はこれらの問題にうまく対応できていません。更に問題なのはアメリカはいつも国連を無視し、一方的主義と先制攻撃の戦略をとり、国連をより困難な境遇に貶めています。一方、一部の発展途上国は国連が各国の発展についての問題を余り重視しておらず、地域紛争を仲裁し、戦争勃発を阻止する面における無力さを非難しています。
これらの問題に対し、国連は改革を行って、初めてそのしかるべき役割を果たすことができるようになります。国連のアナン事務総長は今年の3月に国連総会に報告を提出した際、「今や、宣言や約束は要らない。要るのはアクションだ。われわれの宣言を実行する行動である」と述べました。
国連加盟国は国連改革に賛成していますが、改革の方向と原則には大きな意見の食い違いがあります。国連の改革は主に、安保理とその他の重要な機構の改革、平和維持の原則と危機対応メカニズムの改革と財政改革の三つの内容です。この中の焦点となるのが安保理改革です。しかし、安保理の改革が主に、安保理の拡大と常任理事国5ヶ国の拒否権取り消しといった二つの議題に集中しています。安保理拡大について、加盟国の意見は一致を見ましたが、しかし、いかに拡大するかについては各国の間で意見の食い違いがまだ大きく、すでに日本、ブラジル、インドとドイツからなる4ヶ国連盟による常任理事国入りの取り組みが挫折しました。
安保理改革の本質が国際権力の再分配です。改革の幅が広いほど、矛盾が多くなります。これについて、国連問題の専門家で中国外交学院の鄭啓栄教授は、「大きな意見の食い違いがある場合、安保理改革を強引に推し進めるべきではない」と述べた後、「意見の食い違いにどう対応するか、われわれは充分な討議を踏まえ、意見の一致に達して解決すべきだ。あえて締め切りを設定するのは賢い方法ではなく、また、強引に表決を行うことは国連の分裂をもたらすに違いない」と指摘しました。
安保理改革のほか、多くの発展途上国は、国連改革が発展問題を重視すべきだとしていますが、先進国はテロ取締りがもっと大切だとしています。また、人権理事会設置の問題で、発展途上国と先進国でそれぞれ違う意見を持っています。
各側の努力の元で、国連改革の「成果文書草案」が国連成立60周年サミット閉幕の前に採択されました。この草案は国連改革の必要性、ミレニアム目標をいかに計画通りに実現するかの面で意見の一致を見ました。各勢力の論争と力の競争の中で、国連はやっと改革の面で実質的な歩みを踏み出しました。
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