パレスチナ中央選挙委員会は26日、評議会選挙の統計結果を発表し、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスが、132議席のうち76議席を獲得して勝利したと発表しましたが、戦争と不景気な環境にいるパレスチナの民衆たちは、新政府のいち早い発足を期待していると共に、生活の改善をも期待しています。
1月27日、ヨルダン川西岸の都市ラマラは2日間にわたる選挙活動を終え平常な生活に戻りました。ハマスの支持者たちによる選挙結果を祝うイベントも終わり、選挙時に見られた各派のスローガンとプラカードなども今はなくなり、町には行き来する人々と車しか見られません。
イスラエル軍の検問所は、なおもラマラに設置されており、高い隔離フェンスは今も町を取り巻いており、これでは何も変わっていないようですが、実はパレスチナ民衆の心には変化が起こっているのです。
街角で新聞を読んでいた40代の住民イドさんは記者に 「われわれの生活は改善されるかもしれない。しかし、今はとても惨めであり、イスラエルの占領によって、すべてが破壊されてしまった」と話していました。
イドさんのそばにいた人は「ハマスが勝ってよかった。これですべてが変わるだろう。これからの変化を期待している」と喜んでいました。
今年22歳のパレスチナの青年エニスさんは、英語が上手なのですが、これまで職にありつけないでいました。エニスさんは、「これまで、ファタハが主流派でしたが、ファタハはわれわれの生活を改善できなかった。私がハマスを支持したのは、ハマスに私たちの生活の改善を期待したからです」と語りました。
実はイスラエル人も期待しているのです。しかし、その期待とは、ハマス自身が変化することへの期待なのです。
35歳のヤロンさんは、「ハマスが変わることを期待しているが、最悪の状況となることをも覚悟しなければならない」と述べました。
31歳のアセフさんは、ハマスが執政することに懸念を抱いていません。というのは、執政することは、ハマスが変化していく上でいいチャンスだと見ているからです」と語った後、「今回の選挙結果は、ハマスの暴力活動放棄を余儀なくするだろう。もしハマスがパレスチナ人の生活を改善したいのなら、イスラエルと交渉しなくてはならない。したがってイスラエル政府もそれ相応の措置を取るべきだ」と話していました。
現在、パレスチナ当局と各党派は新しい内閣の発足問題を討議しています。多くのパレスチナ人はハマスを支持しましたが、ハマスがパレスチナ人に安定した生活をもたらせるかどうかは未知の状態にあるのです。というのは、イスラエルの占領下で、パレスチナ人の生活はハマスが設置する新内閣の政策、さらにイスラエルのハマスに対する政策にかかっているからです。しかし、それでもパレスチナ人は変化を求めており、変化があってこそ希望があると考えているからなのです。
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