イラクのマリキ首相候補は20日、イラク国民議会に閣僚リストを提出しましたが、内務相と国防相の人選はまだ発表されていません。一部の党派は内閣のポジションを巡って取引状態にあり、また新政府には参加しないなどの脅かしをかけているのです。このため、マリキ首相候補が組閣での危機を緩和できるかどうか、新政府の閣僚リストが議会で可決されるかどうかが注目されています。
イラク議会の最大勢力シーア派の「統一イラク同盟」(UIA)の指導者マリキ氏は先月の22日に首相に指名され、新内閣リストについて各党派と30日間交渉した上で、今月の22日までに議会に閣僚リストを提出しなければなりません。つまり、残された時間は少ないのです。これについてアティヤ議会副議長は「マリキ首相は20日の午前中に、議会に閣僚リストを提出する」と述べています。そしてマリキ氏も18日「内務相と国防相を含む候補者をすでにを決めた。2日間以内に最終的なリストを提出する」と語っています。
ところで、これまで内定した29のポストには、「統一イラク同盟」から16人、クルド連盟から5人、スンニ派の「イラク合意戦線」からは計画相、外相を含む4人、イラク移行政府のアラウィ首相が統括するシーア派政党連盟からは4人がそれぞれ着く予定です。アメリカのイラク駐在大使館のフォード参事官は「アメリカはマリキ氏が予定どおり組閣を完成するものと楽観視している」と述べました。
しかし、アナリストは「内閣で占めるポジションの数と、重要なポジションの任命ではなおも食い違いがある。それにアメリカの干渉もあるため、マリキ氏の組閣は危機に直面している」と見ています。つまり、マリキ氏の閣僚リストが20日の議会で支持を得られるかどうかが注目されているのです。
まず、シーア派連盟内部の意見が一致していないことが危機の一つです。マリキ政権は議会で過半数の賛成を得なくてはならないのです。議会の275議席のうち、「統一イラク同盟」は、全議席の半数に達していないため、組閣では他の政党と協力しなければなりません。
スンニ派の要求が満たされていないことも問題の一つです。「イラク合意戦線」は議会では最大のスンニ派の政党連盟で、44議席を占めています。ですから「イラク合意戦線」は17日にスンニ派の内閣で占めるポスト問題を見直すよう要求して、さもなければ、新政府への加入を拒否すると警告しています。
第3は、アメリカの干渉が、マリキ氏の組閣に対する外部からの圧力となっていることです。
アナリストは「政治の前途ははっきりしないので、イラクの治安情勢も厳しい。経済再建も困難にぶつかり、国民の暮らしも改善されていない。各党派が国の利益を念頭に置き、組閣での危機を緩和し、新政府の発足で意見の一致に達するよう民衆は期待している」と指摘しているのです。
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