26日の開票結果によりますと、パレスチナ・イスラム原理主義組織（ハマス）はパレスチナの国会に当たる評議会選挙で、132議席中で70議席以上を獲得し、勝利したということです。これによって、パレスチナの政治舞台でハマスはようやく「脇役」から「主役」になったと言われています。この結果は国際社会、特に中東和平プロセスの関係各方面から注目を集めています。

　北京放送の記者はこのほど中国の中東問題専門家、中国社会科学院西アジアとアフリカ研究所の殷罡研究員をインタビューしました。

　殷研究員は、「ハマスの勝利は思いがけないもので、いくつかの原因がある」と見ています。

　「まず、ハマスは膨大な組織で、パレスチナで強い社会救助の機能を持ち、孤児院や老人ホーム、学校などを経営している。テロ活動をする武力勢力はその極く一部だ。また、去年4月以来、ハマスは暴力活動をやめ、停戦協定を守って選挙に参加し、権利を住民と共に享受し、政治解決の道を主張しているため、パレスチナ人からの信頼感を増した。第二に、ハマスの組織力が強く、効率が高い。ハマスの指導者や組織者は廉潔で、仕事や奮闘の精神が旺盛だ。これに対し、過去10年間パレスチナで政治の中心にいたPLO・パレスチナ解放機構（ファタハ）は人数が多すぎ、効率が低いものだ」と殷研究員が述べました。

　殷研究員は更に、「パレスチナ基本法に基づき、ハマス自身は立候補の資格はない。しかし、アメリカやイスラエルなど関係各方面はハマスの選挙参加に特別な寛容と忍耐を示した。このような態度はパレスチナ人に、『ハマスが政権を獲得すれば、イスラエルとの交渉が進展し、国際社会からの支持も受けられる』というシグナルを与えた。しかし、これは間違ったシグナルだ」と殷研究員は見ています。このほか、殷研究員は「パレスチナ経済の主な支援国は選挙前の2日、態度を緩和し、ハマスが兵器を捨てれば、経済制裁を与えないと表明し、パレスチナ人がハマスへの支持を誘導した」と指摘しました。最後に、イスラエルが一方的にガザ地区から撤退することによって、パレスチナ人はハマスの宣伝を信じるようになり、つまり、ハマスの武装抵抗はイスラエルの撤退を促したのだということです。

　殷研究員はまた、「ハマスにとって、武装勢力から合法的政党へ移行し、パレスチナの政治主役になることは容易ではない」

　「この目標を達成するには、今までの政策を調整するばかりでなく、根本的な変化が必要だ。今まで、『武力を放棄せず、イスラエルを承認しない』という主張はハマスの特徴だったが、今の差し迫った任務は、第一、直ちにイスラエルを承認すること、第二、直ちにハマス組織の武装勢力とパレスチナ治安部隊の武装を統一すること、第三、土地と平和を交換し、オスロ協議の枠組み内でイスラエルと和平交渉を行うことだ。以上の任務、一つでも達成できなければ、ハマスの政権は国際社会から認められず、窮地に陥るだろう」と殷研究員は語りました。