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イラク議会選挙後、国内では自爆テロがエスカレートしています。4日にバアクーバで行われたシーア派政党関係者の葬儀中、自爆テロが発生し、32人が死亡した事件に続き、更に一連の自爆テロが起きました。
5日、南部のカルバラと中部のラマディでも自爆テロがあり、少なくとも130人が死亡しました。
カルバラの警察当局によりますと、市内の中心地にあるモスクの近くで、一人のテロリストが体に巻きつけた爆弾を爆発させたことで、63人が死亡、120人が負傷したということです。
ラマディでは、警官募集センターで列を並んでいる数百人の応募者の中で自爆テロが発生し、56人が死亡、60人が負傷しました。
そのほか、4日には中部のバアクーバで、武装勢力が警察のパトロール隊を襲撃し、警察4人を死亡、4人を負傷させました。一方、アメリカ軍は、5日に7人のアメリカ兵士がバグダッドで起きた自爆テロで死亡したと報道しています。
シーア派指導者ハキム師は、これらの自爆テロ事件は、シーア派を標的としたものだと指摘しています。スンニ派の宗教団体「イラク・イスラム・ウラマー協会」とスンニ派最大の政党「イラク・イスラム党」が当日、それぞれカルバラの襲撃事件を非難し、「イラク・イスラム・ウラマー協会」は、団結して、冷静で自制の態度でこれらの犯罪を取り締まるようイラク人に呼びかけました。
世論は、最近、イラクの情勢が再び悪化したのは、終了したばかりの議会選挙と深く関わっているとみています。イラク独立選挙委員会が公開した大まかな選挙結果からみますと、現在執政しているシーア派政党「イラク統一連盟」の得票率がトップになるということで、スンニ派らの不満を招いています。選挙中には不正行為があったとして、スンニ派らは、選挙結果に反対し、何回もデモを組織しました。また、各側の要求の下で、独立国際調査グループが設置され、イラク選挙について調査を行っているため、選挙結果の発表は引き伸ばされました。政局の不安定は、テロ攻撃がエスカレートした主な原因であるとみられています。
選挙に参加したスンニ派の党派「イラク合意戦線」の高官は、カルバラの自爆テロについて、「イラク暫定政権は発足してからこの一年、暴力活動を鎮めることに失敗したばかりではなく、国家権力を弱め、民間武装勢力を強化させるなど、宗派主義を容認する政策を実施してきたことにより、事実上、テロ事件の発生を促した」と非難しました。一方、シーア派のイラク・イスラム革命最高評議会は、「スンニ派は何回も内戦を引き起こし、悪化しつつある情勢に対して責任を取るべきだ」と指摘しています。
イラク独立選挙委員会の高官ヒンダウィ氏は5日、国際調査グループが選挙に対する調査を終える前、イラク独立選挙委員会は今後の数日内に選挙の結果を発表すると明らかにしました。現在、シーア派、クルド人などの党派は、民族団結の新政府を発足させるため、協議しているところです。イラク各側が選挙の結果を受け入れ、民族団結政府の発足に参与し、暴力活動の再発を防ぐことができるかどうかは注目されています。
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