北京心理危機研究センターによりますと、中国では、毎年、自殺者の数が28万7000人に達し、平均して2分間に1人が自殺して命をなくし、8人が自殺未遂をしているということです。15歳ー34歳までの青壮年では、自殺が死亡の主な原因の一つとなっています。
青少年の衝動的な自殺が憂慮されています。自殺未遂者に対する調査では、自殺について考えた時間が5分間しかなかった人が37%で、2時間以内だった人が60%だということです。こうした現状の下で、青少年に対して生命や挫折について教育する必要性が指摘されています。これまで、中国の教育は知識や技能の養成を重んじ、人格教育、心理教育、生命教育を軽視し、価値観、人生観、世界観という言葉は教科書に書かれているものの、概念上の説教にとどまっているだけでした。「人間は何のために生きているか」、「何のために学習する必要があるのか」、「どのように回りの人々と付き合い、環境に対応するか」、「どういうことをやれば意義があるのか」という問題を自ら考える青少年は少ないのです。
世界の一部の国や地域では、生命教育はすでに中小学校の授業に取り入れています。たとえば、スウェーデンでは、教師は生徒たちに妊婦のおなかを軽くなでさせながら、胎児の成長の過程、生命の誕生と死について説明し、生命の尊いさ、人生の価値、生活の意義を考えさせているのです。また、一部の国では、生徒たちは一学期に1回、すりガラスのメガネをかけたり、耳にイヤホンをつけたりして、目や耳の不自由な人の生活を体験しています。こうして、身障者の不便を体験し、生命を尊重する態度を養成しています。四川大地震で生じた苦痛や北京パラリンピックの素晴らしさは生命教育のために貴重な教材を提供しました。車椅子テニスの董福利選手は7歳の時、唐山大地震で父を失い、自ら片足を失いました。19歳のとき、母も病気で亡くなりました。さらに、助け合って生きて来た夫も交通事故でこの世を去りました。運命の残酷さは、身内の生命を相次いで奪ってしまいました。しかし、董福利さんは生きることを大事にし、苦難の中でも、「必ず、楽しみを求め、成功することはできる」とう確信を持っています。これは力強い生命の宣言であり、生き生きとした生命教育になると言えましょう。こうした人間の運命の無常、不屈の生命、人生の価値、精神力は子供たちに生命はただ一つしかなく、他人に関心を持つとともに、自分の生命を大事にし、どんな困難に直面しても、自ら奮闘し、あきらめるべきではないことを教えています。(翻訳:董)
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