今年18歳の林文さんは、登録した麻薬禁止エイズ防止のボランティアの最年少の女の子です。1997年、8歳だった林文さんは、麻薬禁止エイズ防止のボランティアである母親に連れられて、初めて麻薬中毒者治療施設を訪ねました。麻薬をほしがって震えていたり、やせすぎで骨と皮になったりしている中毒者を見てショックを受けました。
その時出会った章さんという女性は安徽省の出身で、アモイに出稼ぎにきている時、人にそそのかされて麻薬常習者となりました。彼女の腕には、火がついたタバコをすりつけた跡が多く残っています。林文さんは、章さんを助けようと決心しました。
会うたびに、必ずおつまみを章さんに渡します。これは、普段家族が買ってくれるものです。また、章さんのために、二枚の水墨画を描きました。一枚は、「灰色の丹頂鶴」です。美しい丹頂鶴は、麻薬に侵されて潔白の羽毛が灰色となるものです。もう一枚は、「お母さんの愛」です。また、章さん宛てに、長い手紙を書きました。一日も早く麻薬依存症を治して家に戻れるよう励ます手紙です。
彼女の純粋な心に打たれ、章さんはこれまでよりさらに頑張って、やっと麻薬の魔の手から逃げれることができました。
その後、14歳になった林文さんは、ボランティアとして正式に登録しました。「麻薬常習者は、崖っぷちに立っているものだ。私たちが手を差し伸べれば、彼らの命を助けられるだろう」と考えるようになったからです。
しかし、いったん麻薬を使い始めたら、なかなか止められません。麻薬常習者が完全に使用を止めるまでには、本人の意志が必要だし、協力者のかなりの努力が必要です。林さんとお母さんは、治療施設に入った患者だけではなく、自宅で治療を受けている患者さんにも協力しています。彼らの家を訪ねたり、インターネットのチャットで常に交流できるようにしたりしています。
高校生に入り、勉強が忙しくなったころも、かならず休日を利用して、麻薬禁止の宣伝や患者のカウンセリングをしました。車の移動中などの時間を利用して英語の単語を覚えたりしました。林文さんは今、広州南方医学大学の一年生です。専攻は医学法律です。「麻薬患者も人権を持っている。しかし、彼らの権利を守ってあげられる人はほとんどいない。今後、この面で何かをしていきたい」と林さんは、言っています。
この10年間、林さんの協力で麻薬をやめるのに成功したのは、39人。林さんは、今後も力を尽くしていきたいと考えています。(文:藍暁芹)
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