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合肥市の老人ホーム
   2008-01-15 11:38:31    cri

 中国は2000年に、60歳以上の人口が全体の10%を占め、高齢化社会の仲間入りをしました。2005年には、その割合は全体の11%、1億4400万人に達しました。中国は、世界で唯一、高齢者人口が1億人を超えている国となっています。

 中国大陸の省クラスの行政区34区のうち、21の行政区が高齢化問題を抱えています。高齢者人口第1位は上海。そのあとに天津、江蘇省が続き、第4位には首都・北京がランクインしています。

 中国の高齢者人口は、2050年には4億人を超える見込みです。つまり、10人に1人が60歳以上となるのです。

 現在、リタイヤした高齢者たちの権利を保護し、彼らが幸せな晩年を過ごせるようにするため、中国政府を始めとする社会各界が様々な対応を行っています。特に地方政府は、それぞれの現地事情に見合った高齢者の生活保障に取り組んでいます。今週はその中の一つ、安徽省合肥(ごうひ)市・ダイヨ鎮の老人ホームについてご紹介します。

 ダイヨ鎮の老人ホームで暮らしている沈訓さんは67歳。入居前は、ずっと一人暮らしをしていました。沈訓さんは、現在の老人ホームでの暮らしに満足しているようです。

 沈訓さん:「ルームメイトと2人で、一つの部屋をシェアしている。テレビ、ロッカー、ベッド、サイド・テーブル…必要な家具はすべて揃っているよ。あと、布団やトイレットペーパー、歯磨き、歯ブラシなどといったものも、全部無料で支給してもらっている。住み心地は、自分の家よりいいかもしれない。私のような年寄りにとって、一人暮らしはなかなか大変だからね…」

 合肥市には、一人暮らしの高齢者がおよそ10万人います。高齢化社会対策委員会の責任者・謝継芳さんによると、合肥市では、こうした高齢者の生活を保障するため、さまざまな福祉政策を実施しています。老人ホームの建設は、その中の重要な一つです。

 謝継芳さんは、合肥市における老人ホームの建設について、「老人ホームへの入居対象となるのは、面倒を見てくれる人がいない、一人暮らしのお年寄りたちである。5年間で1億元を投資し、対象者の半数以上を入居させる計画を立てている。私たちはこれを『515プロジェクト』と呼んでいる」と語りました。

 「515プロジェクト」は去年から始まり、これにより合肥市には150ヶ所以上の老人ホームが新設されました。先ほど紹介したダイヨ鎮の老人ホームも、このプロジェクトで新しく建てられたホームの一つです。老人ホームが増えたことにより、多くの高齢者の生活が保障できるようになりました。

 70歳代の黄寿春さんは、去年の旧正月から、ダイヨ鎮の老人ホームに入居を始めました。黄寿春さんは、当時のことを振り返って、次のように話しました。

 「ここに来たのはちょうど旧正月の時期で、雰囲気がとてもにぎやかで面白かったのを覚えている。家具や寝具などはすべて真新しいもので、衣類まで配給してもらった。今ではすっかりここの暮らしを楽しんでいるよ」

 老人ホームの入居者が病気にかかった場合、老人ホームのスタッフが病院まで同行し、治療費も全額負担してくれます。

 60歳代の林少豊さんは体調を崩しがちで、よく病院を利用しています。老人ホームでの暮らしについて、林さんは次のように話しました。

 「老人ホームに入る前も、病気にかかったときは地元政府の幹部が病院まで連れて行ってくれた。その治療費は政府が負担してくれた。老人ホームに入ってからは老人ホームが全額負担してくれている。たびたび通院しているので、これまで7、8000元(日本円で11万円から13万円程度)は負担してもらっていると思う」

 周伝代さんも、林さんと同じく、目の病気でたびたび通院しなければなりません。老人ホームでは、周さんが市内の病院に通う際サポートを行っています。これまで病気のため、あまり目が見えなかった周さんですが、今ではかなり見えるようになってきました。周さんは次のように話しました。

 「今では、片方の目がかなり見えるようになってきた。片方の目が全快したら、もう片方の目も治療してもらう」

 周さんの通院に付き添うのは、老人ホームの院長・方霞さんです。方霞さんは、今年40歳。方さんが高齢者福祉事業に積極的に携わるようになったのは、あるきっかけがありました。周さんは次のように話しました。

 「私の家族にも高齢者がいるのだが、ある日、彼女が病気にかかって病院へ連れて行ったとき、高齢者福祉の必要性を痛感したのだ。その後、高齢者福祉の仕事に携わりたくて、この老人ホームに来ることを決めたのだ」

 長い間の交流を通して、方霞さんと老人ホームの入居者たちの間には、強い絆が生まれています。入居者から要求があれば、方霞さんやスタッフたちはすぐに対応します。中でも一番の心配りは、季節が変わるたびに衣類を新調してあげることです。これについて方さんは、「着ているものを新調してあげれば、気分転換になる。気分がよくなれば、体調もよくなるでしょう」と話してくれました。

 方さんたちのこうした対応に、老人ホームの入居者たちも非常に満足しているようです。

 入居者:「私たちは毎日一緒に食事をしたり、一緒に遊んだり、時には世間話も楽しむ。家族と一緒に暮らすより、もっと快適な生活かもしれない」

 入居者:「一人暮らしの時より、食事や衛生環境など、生活条件がかなり良くなった。心配することは何もない。面倒を見てくれる人がいて、本当に安心できる場所である」

 老人ホームのおかげで、合肥市の一人暮らしの高齢者は幸せな晩年を過ごせるようになりました。しかし中国では、一人暮らしの高齢者の数は、全体の4割以上を占めています。高齢者福祉政策が整備されていない地域もまだあります。中国の高齢者福祉は、これからも長い道のりを歩かなければならないでしょう。高齢化社会の本当のピークが来る前に、中国政府は適切な解決案を見出す必要があります。(文:KH)

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