中国北西部にある寧夏ウィグル自治区。省都は銀川市で、黄河の上流域に位置し、南部は黄土高原や山地、北部は平原が広がる自然の豊かなところです。イスラム教徒である回族が自治区人口の三分の一を占め、残りは漢族です。主な農業物は北部が小麦や稲、南部では麦、胡麻など。また、中国でも有数の羊の毛皮の産地でもあります。
さて、この寧夏ウィグル自治区にある平羅県は湿地が集中している場所ですが、昔からアルカリ害、塩害に苦しめられてきました。アルカリ害、塩害とは、土壌がアルカリ性となり、作物が生育しにくいという状況です。そのため、この辺り一体は、植物もなかなか育ちませんでした。
そこで、ここ十数年、平羅県は町に、大きな人口の湖を作り、魚の養殖業を営んで、町の経済を発展させてきました。平羅県の農民張雨ヒョーさんの話です。
「昔、ここは塩害とアルカリ害がひどかったんですよ。風が吹くと、すごい砂嵐になるんです。今は商売もうまくいってるし、あと、人口の湖ができて、気候が大分改善されたと感じますね。」
張さんは1990年から魚の養殖を始めました。張さん一家は十数年にわたって魚の養殖に取り組んだ結果、収入も大きく増加しました。ここ数年、張さんのように、養殖に取り組む農民がますます増えています。そして養殖に使われる湖の面積も広がりつつあります。そしてこの結果、湖の周囲には植物が生えて、生態環境がよくなってきたのです。そして、多くのの野生の鳥がここで過ごすようになりました。多くの種類の鳥たちが訪れ、さながら鳥の天国のようになりました。冬でも、灰色や白い鳥が空を飛んでいる姿がよく見えます。
最初は鳥が魚を食べてしまいやしないかと、彼らは心配していました。そうなれば大きな経済損失が出ます。確かに、魚が食べられることはありましたが、それよりも大切なもの、「豊かな自然」を手に入れたのです。ここ数年、平羅県は野生の鳥の保護を呼びかけ、様々なイベントを行なってきました。このため、鳥たちを保護していこうという意識も高まってきたのです。今、農民たちはみんな鳥類を友達にしています。張さんの話を聞きましょう。
「鳥が来ても、驚かすようなことをしなければ、彼らは安心して、湖の中にある島に生活して、いつか小鳥を孵化します。鳥は国も保護しようとしていますし、私達も例え、多少、魚が鳥に食べらて、少しくらい損をしても平気ですよ。」
同じく魚の養殖に取り組む農民、馬雲さんはある日、帰り道に、けがをした鶴を見つけて、家に連れて帰りました。早速、鶴の手当てをして、自分が育てた魚を食べさせてやりました。やさしい手当てを受けた鶴はすぐ回復しました。鶴が青い空に戻っていくのを見ながら、馬さんと、近所の人たちは一緒にツルの大自然への復帰を祝いました。
美しい自然環境、ゆたかな食べ物などがそろっている平羅県は鳥類の天国となっています。去年の冬には2万羽の渡り鳥がここで冬を過ごしました。
馬さんはうれしくてこのように話しました。
「春になったら、様々な鳥類が来てくれるよ。水辺で魚を食べたりして、見るだけでも気持ちいいなあ」
平羅県は豊かな自然環境に恵まれています。湿地の開発可能な面積は8600ヘクタールあまりあります。そのほとんどが開発されました。昔、平羅県郊外にある数多くの池は、すでに面積の大きい湖になりました。塩害やアルカリ害のひどいところには木が植えてあります。平羅県水産ステーションの責任者任永斌さんの紹介を聞きましょう。
「県が提出したのは生態漁業です。昔の小さい池を大きい池や湖にしました。池の周りにヨシタケを植えて、池の中にはすの花を植えました。生態系環境を改善するとともに、漁業や花の栽培によって農民に経済利益を与えました」
今年48歳になる田新江さんは、平羅県四水養殖基地に17ヘクタールの土地を請け負い、水産品と養殖業を営んでおり、収入を増やしました。田さんは池の周りに釣りセンターや鑑賞場所を設けて、観光業の発展に繋がります。田さん話です。
「水があるから、鳥も多くやってきます。私達も鳥たちと仲良くやっていますよ。私達の住むこの街の自然環境がどんどんよくなってほしいですね」
鳥が群れで休んだり、毛を整えたりしている姿がよく見られます。そのそばを歩く人は、鳥たちを怖がらせないよう、そっと歩きます。平羅県の状況は、人間と自然環境の調和のとれた発展の理想的な様子といえるでしょう。
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