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中国人の自転車事情
   2007-11-20 16:09:14    cri
 自転車はほとんどの中国人にとってお馴染みのもので、長い間みんなに利用されている乗り物でした。生活水準が改善され都市が広がるに従って、自転車の代わりに移動が早くプライベートの空間が持てる自動車が人々に愛用されるようになりました。しかし、自動車の急増は交通渋滞や環境汚染などの問題を起こしています。そこで、今は、「環境にやさしい乗り物」が都会人の求める新たなライフスタイルになりました。今週の番組は、中国人の自転車事情についてご紹介しましょう。

 1970年代から80年代にかけて、中国の都会に住む人々にとって、自転車で通勤するのは当たり前のことでした。その時代、北京の繁華街・長安街を行き来する自転車の流れを見て、「中国人はなかなかスマートですね。自転車での通勤は体にも環境にもいいですね」と絶賛する外国人の観光客が大勢いました。

 今や車のラッシュで街の様子は一変していますが、今も中国は確かに自転車王国です。最新の統計によりますと、現在世界の年間の自転車生産量はおよそ1億3000万台で、そのうち中国の生産量が6割以上を占めています。中国国内の年間自転車販売量も世界でもトップです。中国人には自転車に特別の思いがあるといっても過言ではありません。

 北京にはまだまだたくさんの自転車が走っています。しかも、とてもバラエティ豊かです。ペダルをこいで自力で走るのを自転車とするなら、2輪車はもちろん、3輪車タイプや、リヤカーを引くタイプ、前向きのいすに座るようにしてペダルを漕ぐタイプ、電動自転車など、形も機能もいろんなタイプの自転車がありますね。しかも、街のあちこちで、露天の自転車修理屋さんの姿も見られます。

 70年代生まれの胡敏さんは地方出身で、北京で仕事をしています。彼女は自転車に深い思い入れを持っています。

 「小さな頃から自転車を漕いでいた。小学校の頃は、大人になったら郵便配達になろうと夢見ていた。毎日自転車に乗れるからだ」と胡さんが言いました。

 胡敏さんは故郷の高校を卒業して、北京の大学に入りました。北京での大学時代も、胡さんはよく自転車を利用していました。

 「大学時代、自転車に乗る気分はなかなかよかった。10数年前の北京は空気がまだきれいでしたから、自転車で西の郊外へピクニックに行ったり、図書館やコンサートに行ったりした。疲れるなんて全然感じなかった。気持ちがよかった」と胡さんが話しました。

 1997年、胡敏さんは大学を卒業して、就職しました。社会人になっってからも最初は自転車通勤でした。

 「最初は収入のことを考えて、自転車で通勤することにした。就職したばかりなので、お金はないし。また、自転車での通勤に不便はなかったからね」と胡さんが言いました。

 北京の街は全体に平らで、道路も広々として、雨も少ないですから、空気さえきれいなら本当に自転車が良く似合うと思います。1980年代と1990年代の前半、都市で暮らしている多くの中国人は胡さんと同じように、自転車を主な交通手段にしていました。経済の発展に伴い、人々の生活水準も高まってきたため、人々の自家用車に対するニーズも増してきました。

 2000年、仕事の関係で、胡さんは会社の車を利用できるようになりました。毎日車で通勤することに、興奮していました。

 「その頃は、車を運転するなんて、なかなか鼻が高いことだった。だから、どんなに近くても、車で行く。車を運転することで、移動のほか、虚栄心なども満たすことができた」と胡さんが話しました。

 胡さんの仕事は、車がないとなかなか不便だそうです。これについて、胡さんは次のように話してくれました。

 「7年前、車を運転し始めた当時、交通渋滞はあまりなかったので、運転しやすかったのだ。お得意先を訪ねるため、毎日何箇所か回らなければならないので、タクシーを拾うより自分で運転した方が便利だった」と胡さんが言いました。

 今も、仕事に車は欠かせないという人は多いでしょう。さらに、業務用でなくマイカーも欲しくなるでしょう。今の中国は、マイカーを持つ人がどんどん増えています。北京のような大都会では、マイカーの数は毎日1000台の伸び率で増えています。現在、北京市の自家用車の保有台数は310万台となりましたが、2年前は250万台でした。2年間で60万台増えたわけです。北京市政府は道路などのインフラ整備に力を入れていますが、そのスピードは自動車の急増に追いつけません。その結果は交通渋滞です。

 2004年、胡敏さんは元の仕事をやめて、新しい会社に転職しました。胡さんは夫と一緒に自家用車を購入しました。その時から、夫は毎日マイカーで通勤しますが、胡さんはタクシーで通勤しています。しかし、交通渋滞の深刻化で、胡さんは毎日の通勤で悩んでいます。

 「交通渋滞は本当にひどくて、我慢できなくなった。家から会社までたった7キロの距離だが、普通1時間以上もかかるよ」と胡さんが言いました。

 交通渋滞は解決を迫られている問題です。北京市政府と社会各界はその解決策を積極的に検討しています。たとえば、自家用車の使用制限、衛星都市の建設、公共交通機関の利用促進などが考えられています。その中には、自転車の利用を提唱する声もあります。中国自転車協会の郭海燕秘書長は、政府が自転車の利用を呼びかける必要があると指摘しました。

 「中距離や短距離には、自転車を利用するように呼びかけている。省エネのほか、大気汚染の軽減にもプラスとなり、空気がもっときれいになるよ」と郭さんが言いました。

 交通渋滞の場合、自転車のほうがより便利です。たとえば、北京市中心地のラッシュアワーでは、自動車の平均時速は8キロから12キロですが、自転車の時速は15キロとなっています。

 環境保護学者の張霊コウさんは、どんな交通手段を利用しても、環境にやさしくすることができると指摘しました。

 「たとえば、車で通勤しても、燃費の良い車を利用すれば、環境に配慮することができる。タクシーでも、相乗りすれば、環境にやさしくすることができるだろう。地下鉄、バス、自転車、徒歩で通勤すればもっと良いだろう。ケースバイケースで最も合理的な交通手段を選ぶことが鍵だ」と張さんが言いました。

 最近、胡敏さんは折りたたみ式の自転車を購入して、自転車を利用しています。普通は、車のトランクに入れますが、地下鉄やバスを利用する時は、この自転車を持ち込んで乗ります。胡さんは自転車の便利さについて次のように話してくれました。

 「自転車で通勤することは最もいい方法だ。交通渋滞を心配する必要がなく、バスやタクシーを待つ必要もない。タクシーは利用する人が多いので、待つのにかなりの時間がかかる。自転車通勤は途中で停車することができるだろう。もし、朝ごはんを食べていない場合、途中でどこかで停めて朝ごはんを食べることができる。自転車を漕ぐことで、体を鍛えることができる。トレーニングジムに行く必要もなくなるだろう」と胡さんが言いました。

 自転車を利用することで、交通渋滞を減らし、空気の汚染を防ぎ、しかも、トレーニング代わりの体力づくりに役立つ、一石三鳥も四鳥もという訳ですね。中国の大都市では、自転車が交通手段であるだけでなく、健康的なくらしの道具にもなっています。周斌さんはある自転車クラブの責任者です。このクラブのメンバーはよく週末を利用して郊外へピクニックに行きます。

 「私たちはスキーや自転車が好きな仲間だ。夏にはスキーができないので、何をやったらいいかと思っていた。そして、環境汚染が問題になっているので、環境を保護するクラブを作ろうと考えた。自転車で北京の郊外へ行って、環境保護に問題のあることが見つかったら、写真を撮ってホームページに載せる」と周さんが言いました。

 胡さんは今、毎日、自転車で通勤しています。タクシー通勤なら一時間かかりますが、自転車なら30分です。自転車通勤から車での通勤に変わり、また自転車通勤になった経験を踏まえて、胡さんは次のように話してくれました。

 「どんな交通手段で通勤するかは個人の事情次第だということは良くわかっている。たとえば、公共交通機関が整っていない郊外に住んでいる人はバスや地下鉄を利用できない。毎朝、子供を学校に送る人にとっても、車を持ったほうが便利だろう。費用のことを考えれば、マイカー通勤は毎日タクシーで通勤するよりお金もかかる。でも、社会的な責任感や環境保護を理由に人々にマイカーの購入を自粛してもらうわけにはいかないだろう。政府としては、人々に環境に優しい交通手段を選んでもらう一連の優遇政策を実行すべきだと考えている」と胡さんが言いました。

 マイカー購入は個人の自由の領域ですから制限しにくいとは思います。でも、今年行った大気汚染調査のときの車両通行制限を通年的に行うとか、公共交通機関の利用者を大幅に優遇するとか、いろいろな工夫をして車の交通量を減らして欲しいですね。

 僕も通勤に自転車を利用している一人ですが、もっともっと自転車に乗りやすくなるように、自転車道を整備したり、緑化を進めたり、駐輪場を増やしたり、車や自転車に乗る人のマナーを向上させるといったようなことを積極的に進めていくべきだと考えています。(文:KH)

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