バーケン局長はこれらの措置について、次のように紹介してくれました。
「ホロンバイル草原の家畜の頭数が700万頭に達したことがある。ホロンバイル市政府は、毎年100万頭減らす覚悟をした。今年はすでに500万頭にまで減らした。来年は400万頭にまで削減する計画を立てている」
ところで、1ヘクタールの草地は羊一頭分の餌だけをサポートできます。簡単に計算すると、100万頭の畜産を減少することで、100万ヘクタールの草地を保全することができると考えてもいいです。しかし、草地は牧畜民がくらしを維持する元です。放牧の禁止と畜産の頭数削減は、牧畜民の収入を減らす恐れがあります。この点を考慮して、ホロンバイル政府はほかの方法を実践しています。
今年52歳の呉常勝さんはエヴェンキ族自治県の牧畜民です。2001年から、地元の政府はアルカリ性土壌の土地を改良し、幅80キロの土地に35ヶ所の乳牛場を設けました。牧畜民は、この牧場を請負い、牛乳がより多く取れる外国から輸入した乳牛を飼育しています。これらの牧場はそれぞれの面積が凡そ35ヘクタールで、そのうち5ヘクタールは長期間保存できる飼料用とうもろこしの栽培に使われています。とうもろこしを地下室で発酵させ、長持ちする飼料にして、乳牛が越冬するための餌を確保するわけです。こういう牧場は、家畜の飼育を確保するほか草地の生態環境を痛める心配もありません。
呉常勝さんは家計の状況を次のように紹介してくれました。
「ここに定住する前、乳牛の頭数は今とほぼ同じだったが、年間所得は2万元か3万元だった。今、外国から輸入した乳牛に替えたため、1日に250キロの牛乳が取れ、月間所得は1万2000元もある」
草原を利用する放牧民から、牛乳で生計を立てる酪農民になることを推し進めるほか、「幼い羊を肥らせて、早めに販売する」という方法も推し進めています。
伝統的な牧畜民にとって、畜産は財産で勝手に販売してはいけません。羊は3年か4年飼育した上で、販売するのが普通です。その年に生まれた幼い羊は、越冬する前に、体重が35キロから40キロまでになりますが、冬を越すとすぐ3分の2の体重までやせてしまいます。越冬した羊の体重を元に戻すには、少なくともまた1年間かかります。だから、現地政府は牧畜民に、越冬する前に幼い羊を販売するよう薦めています。実践した結果ですが、幼い羊の肉がおいしいし、販売価格も高く、餌を節約することもできます。
これらの新しい措置を行う前、砂漠化した草地の面積は毎年10%から20%増えつづけていました。現在、この数年間新しく砂漠化した草地はなくなり、砂漠化した草地の面積はどんどん減っています。
ホロンバイルでは、今までの飼育法に頼らず、また草原に頼らずに豊かになる方法を模索しながら、工業化を促進することで産業転換を図っています。しかし、生態環境に影響を与えないよう十分な対策を立てていく必要があると思います。(文:姜平) 1 2
|