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「生きた化石」、中国チョウザメ
   2007-08-14 11:25:51    cri
 長江の中国チョウザメは中国に特有の魚類で、1億4000万年前から地球上に生きており、現存する最も古い脊椎動物の一つで、「生きた化石」と呼ばれています。今週の番組はこの中国チョウザメについてご紹介します。

 中国チョウザメは回遊する習性があります。中国チョウザメの成魚は秋の初めに、長江の中流や上流で産卵し、生まれた稚魚は初冬から海に下り、海で成長した成魚がまた夏の末ごろに長江に戻ってきます。

 今年4月21日、2匹の中国チョウザメが、北京から1300キロ離れた湖北省の荊州(けいしゅう)市に運ばれ、長江の上流に放流されました。4月21日午前9時半、湖北省荊州市で、北京から運ばれてきた二匹の野生の中国チョウザメが放流船から長江に放されました。

            

 中国農業省の范小建次官は、野生の中国チョウザメの数が急速に減少している今日、チョウザメの人工飼育と放流を進めることはとても有意義だとし、次のように語りました。

 「重さ450キロの中国チョウザメが再び自分の故郷に帰ったことを嬉しく思う。この2匹のチョウザメを長江に戻すことは、人間と自然が調和の取れた環境の中で共存していこうという理念を具体的に表している」

 今回放流された中国チョウザメは、一匹が体長3.68メートル、重さ451キロで、もう一匹が体長2.88メートルで、重さ160キロです。

 中国チョウザメは、淡水に生息する魚の中では、世界で最も大きな魚の部類に入ります。

 なぜ野生のチョウザメが北京から運ばれたのでしょうか。その理由は次のようです。

   

 ここ数年、長江で人間の活動が増えてきたため、水中の餌が少なくなり、野生の中国チョウザメの数が激減しました。中国チョウザメの絶滅を防ぐため、研究機関では野生の中国チョウザメから卵を採取し人工孵化と人工増殖を行っています。この二匹のチョウザメは人工増殖用の卵を採取するため、去年とおととし、湖北省荊州市の長江流域で捕獲されたものです。

 当時、2匹のチョウザメは人工採卵の手術を受けた後、大変弱ってしまいました。そのまま長江に戻すと、死亡してしまう恐れがあったため、水生動物の飼育経験が豊かな北京シーワールドに運ばれました。

 湖北省の荊州市から1300キロ離れた北京シーワールドのスタッフたちが世話をしたため、2匹の中国チョウザメは体力が回復してきました。野生の中国チョウザメは、北京シーワールドでずっと生きていく訳にはいきません。研究者たちは今年、体調が回復した野生の中国チョウザメを長江に帰すことを決めました。これについて、北京シーワールドの王元群副総経理は次のように紹介しました。

 「専門家が検討した結果、体調が回復した野生の中国チョウザメを長江に戻すことは、日増しに減少している野生の中国チョウザメの数を増やすとともに、チョウザメの回遊の研究にもプラスとなる」

 4月20日、北京シーワールドは長江に帰す野生の中国チョウザメの送別会を行いました。スタッフの李達さんはこのことについて、次のように話しました。

 「2年前、湖北省の荊州市まで国宝の中国チョウザメを迎えに行った。体力が戻った中国チョウザメはまもなく北京を離れる。湖北省に帰り、長江に帰り、大自然に帰る。今日は記念すべき一日である」

 北京から荊州まで1300キロの道のりを、無事に目的地まで輸送することはなかなか困難でした。色々検討した結果、コンテナを載せた大型トラックによる陸上の輸送計画が採用されました。専門家、シーワールドのスタッフ、ボランティアからなる輸送チームは安全を確保するため、色々工夫しました。輸送チームのメンバーで専門家の劉カンキさんは次のように話しました。

   

 「中国チョウザメに強い刺激を与えるのを防ぐため、チョウザメを入れたコンテナに緩衝材のスポンジを設置した。また、チョウザメの新陳代謝を低下させるため、水温を下げた。そして、チョウザメに麻酔薬を投与し、チョウザメを眠らせた」

 21日早朝1時ごろ、中国チョウザメを入れたコンテナが途中の河南省の鄭州市に運ばれました。ここで、コンテナの水の入れ替えが行われました。水の入れ替えに使われたのは湖北省の荊州市から運ばれた水でした。午前9時、2匹のチョウザメは21時間の長い旅の後、無事に荊州市に着きました。専門家の劉カンキさんは感動とともに、次のように語りました。

 「この2匹の中国チョウザメは、2年前に北京シーワールドに運ばれたが、今日再び無事に戻ってきた。とてもうれしかった」

 この2匹の中国チョウザメには追跡センサーが付けられています。長江に放流された後も、研究者たちはこの2匹の中国チョウザメの回遊と生態をリアルタイムで観測することができます。これは野生の中国チョウザメを救うために重要な意義を持っています。

 中国チョウザメの放流について、中国農業省の范小建次官は、「中国チョウザメの生息は長江の生態環境のバランスを維持する上で重要な意義がある。中国チョウザメと長江を保護することは、生態環境だけでなく、人類の将来にも関わるものだ」と指摘した上で、次のように語りました。

 「生態環境が健全な川を維持するには、魚と水、人間と水の調和が取れるべきである。みんなで協力し、実際の行動を通じて、長江に生きる水生動物を救おう。長江の生態環境を保護することは健全な長江、そして調和の取れた社会の建設にも関わっている」

 チョウザメは揚子江イルカなどと同じように、長江のシンボルといえる生き物です。こうした生き物が守られて人間と共存できることが、ひいては、人間そのものの生存に関わっているということを自覚しなければいけないと思います。(編集:KH)

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