質問:映画はあなたにとってどんな意味がありますか。
賈:映画は、自由の探求を手助けしてくれる方法です。ベネチア映画祭で賞をいただいたとき、最後にそう言いましたが、通訳の人はそれを通訳しませんでした。
私たちの生活の中にはたくさんのタブーがあります。イデオロギーのタブー、伝統や道徳のタブー、人間のタブー、どの時代においても、映画は反逆者として、こういったタブーに触れ、人々の生活により多くの空間と自由をもたらすことが求められています。たとえば1980年代にたくさん出てきた女性をテーマとした映画、最近の同性愛の映画、それらはひとつの空間を開きました。社会にこういった現象を少しずつ受け入れさせているのです。
私個人についても同じです。生きていくうえでたくさんの抑制や制約がありますが、映画は私に自由を得る道を与えてくれたのです。
質問:あなたは2000年の『プラットホーム(站台)』のころから、独自の美学スタイルを探し始めましたが、見つかりましたか。
賈:いいえ、一生見つからないのだと思います。黒澤明は「私は一生、映画の美を探求する。しかし、今になっても映画の美とは何なのかわからない」と言っています。とてもいいことを言っていると思います。監督はみな、自分のイメージする最も美しい映画スタイルに触れようと試みますが、ゴールはない。きっと、絶え間なく近づくことはできても、結論はないのだと思います。
【メモ】:『三峡好人』は日本でも年内に公開される予定。
「人民中国」より
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