質問:深く印象に残った人はいましたか。
賈監督:あるとき、「老鬼」と呼ばれている作業員を撮りました。彼は手で粗く巻いたタバコをいつも吸っていて、周りはむせてしょうがなかったのです。しかし私は彼に好印象を抱きました。彼は何を聞いても笑っていました。暗くなると一人で家へ帰っていくのです。私は彼が私のファインダーから去っていくまでずっと撮影していました。
あとになって、彼は家へ帰ってから何をしていたのか、彼にはどんなプライバシーや感情があったのかと考えました。こういったことを私は何も知りませんでした。ドキュメンタリー映画でもとことんまで追求しませんでした。しかしこれにより、私の『三峡好人』に対するイメージは形作られたのです。
質問:三峡の人々はあなたがこれまでに出会った人々とはかなり違うようですね。
賈監督:かなり違います。たとえば、中国人はメンツを大切にします。お金がなくても、荷担ぎ人夫になりたいとは思いません。でも三峡地区の人々は違います。彼らはお金が必要であるからには、稼ぐべきだと考えるのです。ある客引きの男の子は、宿は必要ないか、食事はどうだ、車に乗らないかと何度も何度も飽きることなく尋ねてきました。実のところ、彼の家が店をやっているわけではなく、客引きの仕事でお金を稼いでいたのです。
また、長江のほとりで荷物担ぎの仕事をする「棒棒」たち。彼らが一回の仕事で手にするのは1角か2角です(1角は1元の10分の1、約1.5円)。それでも彼らは積極的に自らの生活を改善しようとしているのです。
「人民中国」より
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