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楽しい老後を送る
   2007-01-23 13:33:51    cri

  

 高齢者に、健康的で楽しい老後を送ってもらうことは、中国で最も注目される問題の一つであり、政府もこれに重点を置いています。

 中国では、高齢者の増加とともに、経済の発展にともない、若者らの仕事がどんどん忙しくなっていきます。そうなれば、多くの高齢者が一人暮らしせざるを得ません。なぜなら、子供たちは都会に出て、仕事に忙しいからです。

 一人暮らしの高齢者にとって、暮らしの面で様々な不便があります。そのため、高齢者介護のための社会福祉施設が、彼らにとって、老後を送る場所となります。

 こうした施設は「敬老院」と呼ばれます。中国中部の江西省上饒市にある敬老院を取材しました。

 「髪の毛を梳かすという言葉を方言でどのように言いますか」

 院長の鄭雪蘭さんが、高齢者に安徽省の方言を教わっています。一ヶ月前に施設にやってきたこの高齢者は痴呆症を患っていて、情緒不安定で、いつも大声を出してわめきたてます。この高齢者に親近感を持ってもらうため、鄭さんは、彼女に方言を教えてもらうことで、次第に親しくなりました。

   

 鄭さんが勤めている敬老院では、ここ17年間で、合わせて300人が老後を送りました。

 しばらく前のことでした。施設に住んでいる95歳の楊議堂さんは、突然、スイカが食べたいと言いだしました。すでにスイカの季節は過ぎ、近くで買い求めることはできません。鄭さんは、すぐに自転車に乗って、40キロ離れた街に出て、スイカを買ってきて食べさせました。

 鄭さんの話です。

 「高齢者の介護を生涯やっていますが、一番うれしいことは、高齢者の方が笑うことです。彼らが笑うと、私も笑ってしまいます。高齢者が楽しく老後を送ってくれることは、私達にとって、最も嬉しいことなんです。」

 このような高齢者施設は中国でおよそ4万ヶ所あります。ベッド数は全部で150万前後です。この数字は、1億4400万の高齢者の数とは大きな差があります。養老施設の数が実際の需要に追いつかないというのが現状です。多くの人たちにとって、自分の家で老後を送ることは大きな願望です。しかし、配偶者がいればともかく、一人暮らしでは不便があまりにも多く、やはり施設の存在はなくてはならないものです。

 79歳の張玉生さんは、河北省石家荘市に住んでいます。10年前に夫を亡くした張さんはずっと一人暮らしをしています。しかし、年を取って、足がだんだん不自由になって、生活に不便を感じるようになりました。スーパーへ日用品を買出しにいくのも、何時間もかかってしまい、しかも途中で何度も休まねばなりません。買い物でさえ、億劫になってきたのです。その頃、張さんの町で、高齢者のために日用品を買うサービスが始まりました。この地域に住んでいるお年よりは、野菜や薬などの買い物をここに頼むことができます。おかげで、張さんの暮らしはこれまでより楽になりました。張さんの話です。

 「買い物をしてくれるこの機構が設けられて、私は助かりました」

 このように、自分の家に住んでいる高齢者のためにサービスを提供することは「在宅養老」と呼ばれ、特に都市部で広がっています。「在宅養老」は主に、一人で生活できる一人暮らしの高齢者を対象としたものです。高齢者は月にわずかな費用を負担すれば、一定のサービスを受けられます。例えば、薬や日用品などの買い物をしてもらう、血圧を測ってもらう、定期的に様子を見に訪問してもらう、などです。このほか、高齢者それぞれの健康状態によって、手術後のリハビリを手伝ったり、身の回りの世話をしたりします。

 責任者、曹玉可さんは、高齢者介護という事業について、次のように考えています。

 「高齢者へのサービスは、それぞれの年齢や収入に応じて、幅広く用意されています。今後はもちろん、政府のバックアップも必要ですが、なんといっても、個人の力、そして企業が力を合わせる必要があります。国、社会、企業が協力することで、高齢者介護という事業は大いに発展すると思います」

 年を取るにつれて、次第に体に不自由なところが出てくるとともに、心理面でも不安定となってくる人が多いようです。とりわけ、配偶者をなくしたあとの高齢者は、孤独感と死への恐怖にとらわれて落ち込みやすく、日々の暮らしに投げやりになる人がいます。こうした高齢者については、日常生活の支援だけでは足りません。いかにその気持ちを癒してもらい、楽しく前向きな気持ちで人生を送ってもらうか・・・いわゆる「心理的介護」をどのように充実させていくかが、今後の課題だといわれています。

 天津市の経済開発区は、政府が地域の「老人協会」を設置しました。この協会では、高齢者が参加するスポーツや演芸活動を行います。いま1000人近くの会員を持ち、地域の95%以上の高齢者がその活動に参加しているということです。

 旧暦の毎年9月9日の重陽節は、中国の「敬老の日」です。この日にちなんで、地域の老人協会はさまざまなイベントを行います。また全ての会員に花束を贈るということです。老人協会はまた、自転車、卓球、合唱、舞踊などのサークルを組織して、会員に積極的に参加してもらい、彼らの生活が豊かなものになるよう支援しています。自転車サークルの一員、廉さんの話です。

 「この地域に住む高齢者はとても幸せです。老人協会が色々と考えてくれます。自転車旅行に何度も行っています。仲間と一緒に、自転車に乗って綺麗な景色を楽しむと、まだまだ人生を積極的に生きて行こうという意欲が沸いて来ます。老人協会の活動に参加することで、元気になってきましたし、暮らしも充実してきました」

 一方で、高齢者の社会保障の面で政府はどんな措置をとっているでしょう。高齢者の数が増加し、社会保障の負担が日増しに大きくなっています。介護施設のベッド数は高齢者1000人当たり、10台ほどと少なく、先進国に比べて、はるかに遅れています。また全国の高齢者のおよそ6割が農村部に住んでいますが、農村部は養老、医療、社会保障の面で整備が、都市部と比べて遅れています。

 これに対して、中国政府は、社会保障の予算を増やし、広いカバー範囲で、経済の発展に適応した養老システムを整え、高齢者の暮らしを改善することを目指しています。中国高齢者工作委員会の李本公副事務局長は、今後数年における高齢者事業の構想を説明しました。

 「第11次五カ年計画の期間に、具体的な目標を定めて、養老事業を進めていきます。例えば、農村部の一人ぼっちの高齢者のために専門の養老施設を設けます。高齢者施設を整備するための財政措置を求めていきます。民間資本や外国資本の養老事業へ投資を促し、多元的な発展を推し進めていきます。」

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