ここ数年来、中国では、大学卒業生の人数は絶えず増加し、一部の人は自分で企業をつくる創業の道を選びました。しかし、社会の経験や能力が足りないため、多くの人々の創業の道は平坦なものではありませんでした。大学卒業生の創業能力を高めるため、2005年、中華全国青年連合会とILO・国際労働機関は協力して、大学生の創業意識と能力を養成するカリキュラムKABを開設しました。
KABはKnow About Businessという英語の頭文字で、企業を知るという意味です。授業の対象は大学の在校生です。企業や創業の基本知識を教え、大学生企業家精神の樹立を手伝っています。
天津工業大学は中国で初めてKAB授業を設けた大学の一つです。この授業は普通の授業とのやり方は違います。教室では、椅子と机は円を描いて並んでいます。60人の学生はいくつかのグループに分けて、座っています。
授業では、先生がある家具会社の経営状況を話しました。
これについてグループ別に分析、論証し、この会社の今後の方針を決めました。王錚さんは法律学科の学生で、そのグループにはまた、繊維製品設計学科の学生もいます。法律学科の学生はその専門知識で会社の発展に法的な諮問を提供することができますが、設計学科の学生はグループの仲間に新製品の特徴を説明し、製品の推薦販売に便宜を提供しています。これについて、王さんは「この授業では、自分が競争の激しい商業界に身を置かれた感じです」と、次のように話しています。
「過去、創業についての授業があり、先生だけが話していましたが、学生は自分が企業をつくる条件や指導者の能力があるかどうか知りませんでした。KAB 授業を通じて、私たちはより直観的に企業の運営と管理の方式を理解しました。また、自分が創業の潜在的な能力を持っているかを分かるようになりました」と話しました。
寇士軍先生は天津工業大学KAB カリキュラムの責任者です。KAB 授業について寇士軍先生は、「この授業は学生たちが独立して、企業を運営する技能と方法を理解させようとしています。例えば、人員の配置や財務の管理などをいかに行なうかということです。これは理論知識があっても、実践能力の弱い学生にとって必要なものだ」と話しました。
現在、天津工業大学はILOの視察を通じて、大学生のKAB創業教育基地となっています。
2006年3月、温家宝首相は政府活動報告で、「革新型国家の建設を速め、革新能力を全面的に向上し、積極的な就業政策を実施する]と述べました。
大学生に対する創業意識の養成を通じて、科学文化知識をもつ青年たちの革新と創業の潜在力を十分に掘り出すことが出来、就職難を緩和させることも出来ます。KAB 教育は中国大学生の革新的精神や就業能力の向上に積極的な役割を果たしていくでしょう。
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