電話一本で電気代、水道費などを支払う、携帯電話で、外出先から家の中の家電製品をコントロールする、警察の指導がなくても交通が整っている…これら、昔、SF映画でしか見られなかったことは、現在、「デジタル都市」というプロジェクトの実施により、北京で実現的になりつつあります。
北京の市民には、電話代、水道費などを支払うのに、銀行で1時間も待たされるという経験を持つ人は少なくありません。こうした状況の改善策として、現在、北京をはじめ、中国の40近くの都市で、「デジタル都市」と呼ばれるプロジェクトが実施されています。
8年前、アメリカのゴア副大統領が、「情報ハイウェイ」という構想を初めて提案しました。その後、「情報ハイウェイ構想」は、各国によって都市のデジタル化建設に利用されてきました。これは主に、インフラと、経済や文化、教育、安全などの情報との間でネットワークを構築し、ビジネス、交通、インフラ管理、公共情報、医療、社会保障など都市生活のあらゆる面でサービスを提供することです。
今年7月から、北京では、「デジタル北京」という公共サービスシステムが作られました。それによって、電話の通信費、インターネット接続費、テレビ受信料、道路の通行料など、日常生活に関わる43以上の費用が、インターネットや電話、専用の端末機で支払うことができるようになりました。
また、北京市政府のオフィシャルサイト「首都の窓口」が開設されました。このサイトを通じて、北京市政府は、新たな政策を市民に発表すると同時に、市民から意見などを聞き取ることもできます。そして、企業の年度検査などもこのサイトで実施できるようになりました。
北京大学都市発展・情報化研究センターの寇有観教授は、「デジタル都市」プロジェクトで、中心で基礎となるのは、全面的な情報共有の実現だと述べ、また、次のように述べました。
「簡単に言えば、デジタル都市とは、都市生活における情報をコントロールするシステムです。病院、警察など、市民の日常生活と密接に関わっている部門の間で、データの交換と共有が実現すれば、私たちの生活はもっと便利になるでしょう。」
ここ数年、北京では、デジタル化が進んでいます。2002年、北京の各繁華街で、市民に情報サービスなどを提供するデジタルインフォメーションセンターが設置されました。これを通じて、北京の地図を調べることもでき、また、チケットや電話カードなどを買うこともできます。また、2006年5月から、公共交通機関で、ICカードが取り入れられたことにより、北京市民は、バスや地下鉄の切符を買う必要がなくなり、ICカード1枚でバスや地下鉄などを利用できるようになりました。
21世紀において、情報化が都市の経済と社会を推し進める要素の一つとなっています。これについて、寇有観教授は、「デジタル都市の建設は、情報化に深くつながっている。政府は、市民によいサービスを提供するには、市民生活における情報化を進めなければならない」と述べ、また、「『デジタル都市』プロジェクトは、経済や社会の持続的な、かつ調和の取れた発展を推し進めるもので、重要な戦略である。現在、中国では、都市のデジタル化が始まったばかりですが、今後10年、飛躍的に発展するにちがいないと信じている」と述べました。
|