中国では、テレビや電話、インターネットなどの通信教育技術の発展に伴い、これを利用して、農業科学技術を普及させ、農民に対する訓練が行なわれています。
韶山村は、中国中部の湖南省にある面積が僅か5平方キロで、1600人の人口がいる小さな村です。これまで、ここの農家は、伝統的な方法で、水稲を栽培し、生産高は低かったのです。しかし、2年前から、新しく交配した水稲、ハイブリッド米を栽培し始めました。想像も出来ないもので、その年、収穫高は2倍となりました。ところで、これまで、ハイブリッド米を栽培した経験のない農家はどのようにして、この栽培技術を素早く身につけたのでしょうか。これについて、農民の李定紅さんは、
「私は、困難にぶつかった場合、ネットを通じて、中国農業科学院の技術者に聞くのです。これで、収穫高を高めたのだ」と話しました。
李さんの言うネットは、つまり、村に設けられている長距離通信教育ステーションです。ここには、テレビや、コンピューター、衛星中継システムなど近代化した通信設備がすえつけられています。こうして、全国各地の農業科学技術専門家は衛星ブロードバンドネットや、有線テレビ、放送ネットワークを通じて、遠く離れた農家と連絡を取り、農業技術訓練を行っています。現在、韶山村の農民は、一週間に3回、決まった時間に、長距離通信教育ステーションで集中的に農業専門家の講座を聞いています。
このほか、どのステーションでも、コンピューターを操作する専門家がいます。これに携わっている胡勇さんは、農民の質問をネットを通じて、専門家に提出します。これについて、胡さんは
「専門家は忙しくない時は、僅か数分間にその質問に答えをしてくれることも出来ます」と話しました。
中国では、 韶山村のようなシステムが盛んになっています。統計によりますと、現在中国では、長距離通信教育ステーションは、河南や浙江など12の省で普及し、数万の農家はそれによって利益を得ています。
中国東部の浙江省の農民、陳永康さんの一家は葡萄の栽培に取り組んでいますが、ここ数年、病虫害の問題に悩まされています。これについて、陳さんは、「村で長距離通信教育を受けることが出来るようになってから、病虫害の防止方法を学んだ」と話しました。
通信教育によって、農家たちはよその世界を知り、よその人々も辺鄙な農村のことを知るようになったほか、多くの農家の生産と農産物の販売は、経験と科学技術によって、ますます豊かな道を歩み出しています。
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