このほど、イギリスの薬物検査機関は、漢方薬を服用していた患者に異変が起きた問題が数件あったことを受け、漢方薬の使用を慎重にするよう国民に要求しました。問題があったのは、アロエが材料となるカプセルで、水銀の含有量がイギリスの国家基準を超え、また、ツルドクダミも、肝炎につながるとされています。
これで、漢方薬の使用が安全かどうか、疑問が起きています。中国国際放送局の記者は、これを究明するため、漢方医薬の専門家に話を伺ってきました。
中国漢方医学科学院の李連達首席研究員によりますと、漢方薬は、天然の生薬を用いるので副作用がない、と一般に考えられていますが、実際、それは間違いであるということです。実は、漢方薬でも西洋薬でも、毒性と副作用があるものです。例えば、西洋薬で、抗生物質として広く使われるペニシリンは、過敏症によりショックを起こす可能性があります。
漢方薬は、異常な反応を伴うことがありますが、それが生産され、患者に使われるまで、大量の実験が行われます。したがって、市場に出された漢方薬は、安全で、毒性があっても、強くありません。
専門家によりますと、人々は、漢方薬の効用や用法を、誤解しているところがあります。
まず、漢方薬を誤って使ったことで、異常反応が起きましたが、それを漢方薬の毒性のせいにすることがよくあります。中国漢方医学科学院薬物安全検査センターの梁愛華主任は、外国の一部医師が、漢方医学の知識がまだ足りないため、漢方薬を誤用しかねないとしています。梁主任は、次のように述べました。
「いま、海外には、ベテランの漢方医が少ないため、漢方薬を服用した患者に異常反応が起きる確率は、中国国内よりはるかに高いです。現在、海外で起きた漢方医の医療事故には、患者に間違った薬が投与されたものも多くて、使用方法や使用量、使用時間の間違いによるものも多いです。」
また、漢方薬の毒性自体も、その安全性が問われる理由の一つになっています。確かに、一部の漢方薬には、水銀やヒ素などの重金属、それに毒性のある植物と動物の成分が含まれています。西洋医学では、これらのものは、人間にとって有害物質であるとされています。しかし、漢方医学では、これら毒性のあるものがほどよく組み合わせられており、その相互作用によって、人間の体に与えられた毒性がごく少ないまま病気が治されます。
漢方薬は、栽培から生産まで、いろいろ厳しい基準が取られています。その基準に従わなければ、薬の効用に影響する可能性があります。これについて、北京衛生学校の金世元首席漢方薬師は、こう語っています。
「まず、漢方薬の原料から言えば、同じ種類でも、産地の違いによって効用が異なります。また、栽培するときの温度や湿度、それに保存の環境など、小さな差でも品質に影響します。したがって、漢方薬の生産企業などは、注意しなければなりません。」
漢方薬は、中国の宝物で、数千年にわたって豊富な理論や臨床の経験を積み重ねてきました。今後も、漢方医たちが、漢方薬の品質のさらなる向上を目指して、研究と開発を進めることによって、多くの患者が救われることになるでしょう。
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