張黙さん(20歳)は北京生まれ北京育ちの男性です。身長は182センチ、体重は75キロ、スポーツ選手のようながっちりした体格の持ち主ですが、彼は、「今の体重では太りすぎ。脂肪を落とすためには、ダイエットしなければならないよ!」といいます。
張黙さんの夢は国際空港の"顔"ともいえる「空港係員」になること。空港係員は、空港内の案内をはじめ、出入国の際の検査を行ったり、荷物の検査を行ったりというのが主な仕事です。
中国には空港係員になるための専門学校があります。これは航空会社が設けているもので、ここを卒業しないと、仕事につけません。
張黙は今年の4月、専門学校に入学しました。普通の短大のような雰囲気だと思っていたそうですが、その実、まったくそうではありません。学校というより、むしろ"軍隊"と言ったほうがいい、そんな学校です。
学校の敷地はとても広いです。入り口には本物の飛行機が飾られています。運動場は一般の学校の2倍の広さで、脇には、フィットネス器材が整っています。寄宿制で、全員が2棟ある学生寮に寝泊りします。それぞれ女子寮と男子寮で、建物の色が白と青ではっきりと色分けされています。張さんが住んでいるのは男子寮の2階です。
ルームメートは4人。18歳から21歳までの若者です。そして、全員が175センチ以上です。
毎日朝5:30起床。6:00から2キロのジョギングがあります。最初の頃は苦しくてたまらなかったそうですが、今では「2キロ?朝飯前だよ。へへ」と、笑いながら自慢げに話してくれます。
ジョギングから帰ると、部屋の掃除をします。布団は軍隊のように、「豆腐坊(豆腐のように、正方形になる特別な畳み方)」にしなければなりません。そして、床をほうきで掃いて拭き掃除をします。机の上もしっかり整理整頓。机上に何もないようにしなければなりません。
7:00から7:30までは朝食時間。ジョギングのあとですから、食欲は十分。"2キロ分のカロリー"を補充するため、おいしかどうかはさておき?!みんな、もりもりと食べます。教官はこの時間を利用して、寮の衛生状況を検査します。
そして8:00に授業開始。
まずは、「勤務内容、そして空港勤務員の義務と権利」についての科目です。張さんにとっては、新鮮で、面白い内容です。さらに「空港地理」、「飛行機構造」、「国際通用航空法」、「荷物管理検査方法」、「身分証明書検査方法」、「実用英語(第一外国語)と日本語(第二外国語)」など、あわせて8科目です。
すべての内容を暗記しなければなりません。この中で、張さんは不得意な科目は「身分証明書検査方法」です。自動車免許のようなIDカードの中には14ヶ所、「本物」の目印があります。非常に微妙な目印で、それが一つでも足りなければ、「偽物」となります。テストは一定時間の間に、偽者のIDカードを見つけ出すというもので、10分間に100枚のカードを審査します。もし2枚以上、間違ったら、不合格。とても厳しいテストです。
張さんは、第一回のテストで、10個、間違えて落第しました。落ち込む張さんに、教官は「大丈夫、テストはあと三回あるよ。私も実は、学生の時、13個も間違ったのだから」と励ましてくれたそうです。(ちなみに第二回テストは6月23日。張さんは果たして合格できるのでしょうか)
12:00からの1時間半は昼食と昼休みの時間です。そして13:30から午後の授業が始まります。
晩ご飯は17:00から。そして18:00以降は自由時間となります。この"自由時間"だけが軍隊と唯一異なるところです。
張さんはよく、何人かの友達と学校近くの「焼串店(日本の居酒屋のようなもの。羊肉や鶏肉の串焼きのお店)」で過ごします。店ではビールを売っていまが、学校の規則で、アルコールは禁止。コーラなどのノンアルコール飲料しか飲めません。それでもこの時間が一日で一番リラックスできます。
学校の門限は21:00。学生はそれまでに学校に戻らなければなりません。でも、張さんは、よく夜11時ごろにグラウンドのトイレの壁を乗り越えて寮に帰ることがあるそうです。
まだまだ元気が有り余っている若い『男の子』ですね。
22:30に睡眠。1日6時間以上寝ることも空港係員の仕事であり、義務だそうです。
明日もまた忙しい毎日になりそうです。
張黙さんは、こんな、北京で空港係員を夢見る、普通の男の子です。(編集者:オウギ)
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