10年前、那思瑪さんはお兄さんの孟克さんと妹さん南思卓瑪さんと一緒に北京へ来て就職しました。生まれ故郷のモーコ草原を10年間も離れたものの、那思瑪さん一家は依然として遊牧民族の伝統を大切にしています。今年の春節、私は北京の東北部、順義県にある那思瑪さんの家を訪れました。
ちょうど今年の春節前、那思瑪さんの妹さん南思卓瑪さんは結婚しました。新郎は同じモーコ族の男性、斉木扎布さんです。今年の春節、那思瑪さんは両親を内モーコ自治区から北京へ迎えてきました。そして、家族揃って春節を祝い、南思卓瑪さんと斉木扎布さんの新婚帰省式を行いました。
「結婚して間もなく春節を迎えましたので、新春祝いの準備など大変忙しかったです。ハネムーンの気分なんか、ぜんぜんありませんよ。平日と変わりなく過ごしてしまいました。また、義理のお父さんに会うと思うと、ついつい緊張しますしね」。
モーコ族の新婚帰省式は、新婚さんが初めて新婦の実家に戻ることを指します。しかし、南思卓瑪さんと斉木扎布さんは既に北京に定住していますので、新婚帰省式は里帰りして南思卓瑪さんの実家に戻る代わりに、南思卓瑪さんのご両親を北京に迎えて行われます。新郎の斉木扎布さんにとって、プレッシャーが感じられたのも当然でしょう。
南思卓瑪さんと斉木扎布さんの新婚帰省式を祝うため、那思瑪さん一家は全員民族衣装を身に纏って参加しました。那思瑪さんに生まれたばかりの双子の娘も笑い声で自分の祝福を表しています。新婚帰省式の時、モーコ族は必ず新婦に羊の胸肉の煮込みを用意します。
「嫁に出た娘が始めて実家に帰る時、必ず羊胸肉の煮込みを用意してもてなします。この時、新婦は娘ではなく、人のお嫁さんとして、お客扱いされますよ」。
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