この日から、南思卓瑪さんは正式に実家を出て、他人のお嫁さんとなります。南思卓瑪さんは黙ってお母さんの用意してくれたモーコ族の民族衣装を着替えています。
「モーコ族の女性の民族衣装には未婚者と既婚者の区別があります。結婚した女性の衣装は肩の部分が張り出して「旗肩」が付いていますが、未婚の女性にはこれがありません」
「5人兄弟のうち、お姉さんは嫁に行っているし、3人のお兄さんも結婚しました。南思卓瑪は末っ子で、今度、嫁入りですからね。」
家族の暖かい愛情を浴びている南思卓瑪さん、懐かしい思いを募らせているのか、新しい生活への期待に満ち溢れているのか。きっと、複雑な心境になっていますね。家族全員揃って自分の新婚帰省式を祝ってくれるなんて、南思卓瑪さんは本当に幸せですね。どの民族にとっても、結婚は人生における大きなことですね。特に娘が嫁に行く時、親の気持ちは複雑でしょう。
那思瑪さんの話では、伝統的なモーコ族の新婚帰省式では、新婦が実家に戻る時、両親以外のすべてのメンバーは家を出て出迎えます。かなり盛大な催しですよ。しかも、モーコ族にとって、羊料理は何よりの美味しいものです。特に羊胸肉の煮込みは子孫の繁栄をもたらす縁起のいい食べ物と見られて、新婚帰省式の時、必ず新婦に用意します。遊牧民族のモーコ族は昔草原のあっちこっちで放牧し、親友と会うチャンスが少ないから、嫁に行った娘もあまりご両親と会えないため、新婚帰省式は大いに行われるのでしょうか。
今の時代では交通手段や人のコミュニケーションが便利になり、会いたければ、すぐ会えますね。それにもかかわらず、昔から言い伝えられた自民族の伝統を大切に守っている南思卓瑪さんご一家、本当に尊敬すべきです。このような民族行事によって、家族全員揃ってのコミュニケーションが出来たり、都市生活の煩わしさを一掃して、心を癒されますね。
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