島井さんは青海大学にお勤めで、中国での仕事暦2年と、それほど長くありませんが、新素材開発の分野で優れた業績を上げたことで今年の「友誼賞」に入賞しました。
授与式に参加するため、青海省から北京に来た島井さんを取材して来ました。
記者(以下「記」と略称):青海省で外国人専門家をやるきっかけは何でしたか。
島井(以下「島」と略称):前に私は日本で「東京セラミックス」という会社に勤めていたんですけれども、その会社が中国の大学とか、研究所と一緒に仕事をしたいと、そういう希望を持ちまして、相手を探しに中国に来ました。最初、北京の清華大学の李建保さんに会いまして、彼と一緒に仕事をしようかなと計画しました。そしたら、李建保さんは清華大学の学長になりまして、私たちも清華大学へ行って李さんに会いました。それがきっかけです。
記:青海省にお勤めになって、今年で何年目ですか。
島:今年で三年目になります。
記:主にどんな仕事をしていますか。
島:青海大学の先生と一緒に、セラミックスの研究を始めまして、新しいセラミックスの研究開発をやっています。
記:今回、中国政府から優れた外国人専門家を表彰する賞をもらいましたけど、何が評価されて良かったと思いますか。
島:青海省というところは、中国の人でもはるかに遠いところだということで、あまり行きたくない場所だというふうに聞いております。それで、まず、日本人、外国の人が遠い青海省まで行ったということが一つと思います。それからもう一つは、青海省の科学技術が、全体的なレベルからみますと、少し遅れているところがあります。そういうところに行って、最先端の材料を研究開発するという仕事を始めまして、ある程度の成果を挙げたことが評価されたと思います。
記:暮らしの面では、やはり外国人ですから、いろいろと不便があると思いますけど、青海省は北京より遅れていますから、何か生活の面で不便はないでしょうか。
島:衣食住の大きなところは、何も苦労はないです。これ以外のことで、夜、水が止まりまして不便とか、あるいは暖房は10月15日から4月15日までしか入らないと、いまから暖房が入る10月15日までものすごく寒い、それに4月15日から5月初めまでは大変寒いということで、そういうことです。後はあまりないです。青海省の人々は非常に心温かい人で、気候が寒くても、心の温かさでちょうどカバーされるというところです。
記:中国の人々との付き合いですけど、言葉の面でも通じないものがあるし、習慣や考え方にも異なる点はあると思いますけど、そんなところで不便と思うことはないでしょうか。
島:不便というところはですね、計画性が乏しいというところかなあ。それから、約束したことを変えてしまうということがあるみたいですね。そのつもりで準備していると、すぐ計画が変わる、予定が変わると、最近、携帯電話が普及していますので、あとで「変わったよ」という連絡があるんで、最終的には問題ないですけれども、そういうところはやはり困るところはありますね。
記:お互いの国々は仕事の習慣が違うということでしょうか。
島:仕事の習慣というか、意識の持ち方が違うんですね。日本は時間を確実に守るということなんですけれども、中国はちょっと足りないところはありますね。
記:私たちの北京放送の日本人スタッフでは、休みになったらどこへ行こうかとか、家族に会いたくなるということがありますけど、どうでしょうか。島井さんは奥さんも一緒に来ていますかね。
島:家内は日本にいます。毎日、インターネットでEメールでやり取りをしているんです。それで、会わなくても寂しくない、そういうふうになっています。
記:若い駐在員ですと、子供の教育とか、いろんな問題に直面しますけど、島井さんはこの面ではもう大丈夫ですか。
島:男の子は二人いるんですけれども、もう30過ぎて会社に勤めてますし、問題ないし、私たちの親も4人とも死んでしまったんで、親の面倒を見るという問題も終わってしまったんで、ある意味では自由になっているところも大きいです。
記:それでは、休みをどういうふうに過ごしていますか。
島:私は休みは西寧市をいろいろ探検したり、後、青海省のほかのところも回って、なるべく青海省のいろんな風物、いろんな人に会ったりして、珍しいものを見たりして、将来青海省のことを本に書きたいなと思います。取材をしています。
記:青海省をすごく気に入ったようですけど、青海省というところをどういうふうに思っていますか。
島:まず、第一の特徴は青海省の広さ、広大さ、日本はゴジャゴジャしているんですけれども、空間が大きい、そこが最高の魅力だと思います。それから、いろいろな少数民族が一緒に住んでいるんで、いろいろな文化が混ざっていると、そういう面白い場所だなと思っております。
記:日本の人々に青海省を紹介するとすれば、一番の売り物はなんでしょうか。
島:やはり一番の売り物は観光資源。その広さ。日本は雨がたくさん降るんで、山は木々で覆われていますけれども、青海省は木はありません。そういう景色は日本人には想像できないですね。ですから、非常に変わった印象を、「こういうところもあったのか」びっくりするように、いい印象をもつと思います。
あまり時間がないようで、短い取材でしたが、私の質問に快く答えてくれて、とても付き合いやすい、そんな印象を受けました。青海省の新素材開発でいまも島井駿蔵さんが頑張っていることでしょう。
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