シーサンパンナ・ガンランバのダイ族園は6年前の1999年、観光開発で村おこしをするというコンセプトで立ち上げた後、地元の農家は相次いで民宿の経営に乗り出しています。
私たちはその一軒に入りました。ダイ族の伝統的な住居で、風通しの良い二階建ての竹楼です。竹楼の一階は物置で、機織機が置いてあり、観光客のジープを停めるガレージになっていました。二階は人間の居住空間です。二階は大きな広間をはさんで、左右両側に客室と生活エリア(居間)があります。
ダイ族の風俗習慣では、家族の寝床は家族以外の人は、絶対入らない決まりがあり、しかし、それ以外のところはどこに入ってもかまいません。とりわけ、広間は自由な空間で、訪問客も自由に利用できるようです。
この家の主は岩約さん、42歳。妻と二人の子どもと父親の5人家族で暮らしています。2001年、村の観光産業の発展に伴い、民宿を開業しました。現在の家には、一度で最大50人の客を受け入れることができます。
民宿のほか、岩約さんの家は500株のゴムの木を持っています。岩約さんは毎日午前4時に起きて、ゴムの木の樹液収集作業に出かけます。500本もあるゴムの木に傷をつけて出てきたゴムの原液を収集するので、かなりの重労働のようです。作業は、10時頃に一通り終わり、岩約は帰宅して少し休憩します。
一方、奥様は7時頃に起床して、先ず最初にやることは、その日に使う食材を市場へ買出しに行きます。村では、朝ご飯は各家庭で作って食べる習慣はなく、村のミーフン屋台で済ませます。
昼と夕方は家の掃除や、観光客の食事の世話で忙しく、夜は早く眠れる時で午後8時、しかし、忙しい時は10時ぐらいまで起きているようです。
こんなに忙しく働いていると、体は疲れませんかと聞いてみました。
「疲れていますけど、楽しく働いているので、苦になりません。それより生活が以前よりずいぶん楽になりました。嬉しいことです」と目を輝かせていっていました。
岩約さん夫妻は「子どもの時、家が貧しかったので、学校で教育を受けることができなかった」と残念そうに言っています。二人は、その後、独学で読み書きを一通りマスターしたと言います。そういうこともあり、子どもたちには大学を卒業してほしいと思っていましたが、残念なことに、長男は中学を卒業してから、「もう勉強したくない」と言い出し、今は、家で民宿の手伝いをしているようです。だから娘には頑張ってほしいと二人は口を揃えて言っていました。
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