高く聳え立つ高い山の麓に、緑の絨毯を敷きつめたような大草原が広がります。美しいキルギス族の乙女がここで軽やかな音楽を伴奏で、軽快に蝶のように舞っています。赤ちゃんを抱っこしている母親のそばには、母子を見守っている父親。二人とも幸せな笑顔を浮かべています。緑の草原では、かわいらしい白い鹿たちも一緒に遊び戯れています。なんとハーモニの取れた世界でしょう。

　キルギス族にとって、一番親しまれている演目は叙事詩『マナス』です。マナスはキルギス族のヒーローで、今でもステージでは、マナスにまつわる伝説や歌が踊りに取り入れら、数多く上演されています。

　中国舞踊家協会の李毓珊副主席は、キルギス族の歌と踊りには奥深い文化的意味合いがあると話しました。

　「中国に56の民族があるが、叙事詩の持つ民族はわずか3つしかありません。キルギス族の『マナス』はその中のひとつに数えられています。実際にキルギス族の人々の暮らす土地を訪れると、人々や、山や水にしても、どれも摩訶不思議な雰囲気が漂いました。キルギス族は物的条件の悪い辺境の地に暮らしているからこそ、山のような強い意志を抱いている民族でもあります。」

　キルギス族は総人口14万人。その大部分は新疆西部のクズレス・キルギス自治州に暮らしています。クズレス・キルギス自治州の北部と西部はそれぞれキルギス、タジキスタンと国境を接し、総面積7万平方キロあまりです。しかし、この広い土地に暮らす自治州の総人口はわずか42万人にもならず、人口密度は一平方キロあたり4.5人未満となっています。総人口の中、約3割をキルギス族が占めています。

　自治州に連峰が聳えていることから、「万山の州」との別称を持っており、代々ここで住居を構えているキルギス族の人々は勤勉で、優しく、彼らは自分たちの知恵をもつ輝かしい歴史と文化を作り上げ、平穏無事で、幸せな生活を送っています。

　キルギス族の民族舞踊や歌について、学者のアブドゥラ・ウスマンさんは、「私たちの踊りは主として、キルギス族の古代歴史、文化と一部のヒーローを表現しています。このほか、キルギス族の文化と歴史の発展ぶりや、クズレス自治州に暮らしている人々生活風景をもテーマとしています」と述べました。