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南糯山村龍巴門 | 雲南省最南端のシーサンパンナダイ族自治州は中国で熱帯の風景が楽しめる数少ないエリアの一つです。総面積2万平方キロ、総人口83万人。ダイ族のほか、ハニ族、ラフ族、ぶーラン族、チーヌオ族、ヤオ族、イ族など、代々ここで暮らす少数民族は14あり、総人口の約35%を占めています。この中、ハニ族の人口は約19万人います。
●「父子連名」と「龍巴門」
ハニ族は苗字がなく、子供が親の名前の最後の発音を受け継ぎ、命名されます。これがつまり、「父子連名」の習慣です。
シーサンパンナのハニ族の村落に大きな特徴があります。それは、村の境を示す村落の玄関・「龍巴門」です。「龍巴門」は正門と、左右対称になっている脇門からなり、丸太で作られています。 年が重なる度に、新しい木を追加していきます。門の横木には、木刀や、魔よけの木の彫刻などが飾ってあり、両脇には子孫の繁栄を祝して、丸木で彫刻された男女の人形
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石頭寨・脇門に設置された女性人形 | が
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石頭寨・脇門に設置された男性人形 | 左右に置かれています。
龍巴門はハニ族村落のシンボルです。ハニ族にとって、この門は村の氏神の権化で、神聖で、犯してはならないものです。
以前、ハニ族は世の中に鬼がたくさんいるという信仰がありました。この門は村人たちを鬼の世から守られ、鬼を村に入れさせないようにするという人々が信じていたようです。
また、村で不幸があった場合、村の長老は龍巴門に記しをつけ、近くを通る人たちが一目で見分けられるようにしていたそうです。
● 「アイニ人」の村・南糯山村
ハニ族には数多くの枝分かれがあり、「アイニ人」がその中の一部族です。シーサンパンナダイ族自治州の州都・洪景市から20キロ離れた南糯山村はアイニ人の村落です。
村の家屋は伝統的な木造建築で、その中の一軒、たいへん立派で、広い屋敷に上がってみました。一見、ダイ族の竹楼と良く似ていましたが、話を聞けば、山林での伐採が禁じられたため、半年前に建てたこの家は、取り壊されたダイ族民家の材木を市場で調達し、リサイクルのようです。
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南糯山村龍巴門 | 村落に漢族と異なる葬儀と先祖を祭る風習を聞きました。
「私たちハニ族はお墓を作る習慣はありません。墓石も置きません。村には、死者を葬る山があり、死者は木の棺おけに入れ土に葬るのですが、葬る時は木を一本植えて埋葬場所の印にします。時間が経過すれば、同じ場所に別の人を葬るので、場所をとるようなことにはなりません。漢族のように、定期的にお墓参りする習慣もありません。お祭りの機に、時たま先祖を祭っているのです。」
ちなみに、村で一番にぎやかな祝日は、旧暦十月のハニ族新年です。お祝い活動が6日間にわたり行われ、家々ではお持ちをついて過ごす風習があります。
●多民族の共同体社会
今や茶の原産地として世界に名をはせている南糯山村。村の名前・「南糯山」は実はタイ語でした。意味は「筍の塩漬け」だそうです。
そのわけは、南糯山村では峠の上は茶の木が植えているが、峠のふもとでは、竹林が広がっていました。たけのこが村の名産ですが、村人は食べ切れないたけのこを塩漬けにし、すっぱくなると食べ、または煮込んでジャム状にして食べていました。
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石頭寨龍巴門 | シーサンパンナは今、ダイ族自治州と名づけられていますが、実はここは、古代でもダイ族により統治されていました。ある日、一人のダイ族の官僚が村を視察しに行った際、すっぱくなったたけのこをご馳走になり、たいへん気に入ったため、それ以降、「南糯山」がこの村の名前になったと言われています。
ダイ族がメインのシーサンパンナでは、実は各民族の間に、お互い交流も盛んに行われているようです。もう一例をご紹介します。それは、ダイ族とハニ族の間にある「牛縁組」という独特な風習です。中国語では「牛親家」と言います。直訳すれば、「牛で結ばれる縁」です。文字道理、一頭の牛をダイ族の家とハニ族の家が同時に農耕などに使うことです。
ダイ族もハニ族も稲作をしている民族で、牛は畑仕事に必要な動物です。ダイ族は平地に住み、ハニ族は山腹部に住んでいるため、気温の差から、田植えの時期が異なります。ダイ族の村落は早春から早稲の田植えに追われているため、その間、牛はダイ族の家にいます。夏と秋は、平地のダイ族の村落は依然と酷暑が続いていますが、ハニ族にとって、田植えと刈り入れの季節になるため、この間、牛はハニ族の家で飼われます。冬になれば、牛は再びダイ族の家に戻っていくということです。
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